2010年02月22日

ボーリングはどうして必要?

いつもふざけたことばかりの当blogですが、ちょっとまじめに仕事の事も書いてみよう、と思い立ちまして、
今回から新カテゴリー「なぜなぜ内燃機?!」シリーズとして開始致します!

このカテゴリーでは、ごくごく基本的な内燃機加工に対する疑問にお答えしようというもので、
当blogの読者の皆さんのようなマニアのかたにはわかりきったことになるかもしれませんが、
まあ、おつきあいください。


第一回はボーリングがなぜ必要になるの?ということでお送りします。

これはちょうどいま、受注棚に置いてあったSR400のシリンダー内径です。
うっわ〜、黒サビが出ちゃってますねー。

かなり長期間放置プレイされたエンジンでしょう。かわいそうに。
リングが止まっていた位置の上に水でもたまってたんですかねー、黒々とした錆のかたまりが見えます。

こうなるとボーリングしても、スリーブの奥に向かって錆がすすんでいて、かなり大きくとらないときれいにならないかもしれません。

このくらい内径がひどければ、こりゃなんとかしなくちゃ。ボーリングが必要だなってかえってわかり易いですね。(^o^)

 

 



 さて、こちらも受注棚からひっぱり出してきたGT380のシリンダーです。

これはSRに比べるとかなり程度はいいです。順等に摩耗している感じですね。
縦傷が見えますが、これはどんなシリンダーでもエンジンが回った以上避けられない程度の傷です。

 



 こちらはホーニング完成の棚にあったGS400のシリンダー。通常ホーニング仕上げの品物です。こういうシリンダーを見ると面研磨もしたくなります〜〜!!(^o^)

右上の青い印はピストンとシリンダーの両方にウチでつけたマークです。

ピストンは同じサイズと言ってもミクロン代は誤差があります。
せっかくボーリングをするならその誤差分も吸収できるように、それぞれのピストンを正確に測定して
きっちりクリアランスを出したいものです。

そのため、当社では多気筒のシリンダーの場合も全てのピストンをお預かりして、全部のピストンを測定して
それぞれのピストンに合わせたクリアランスでホーニング仕上げします。
組み立てしていただく時も、ピストンとシリンダーの番号を合わせていただければまちがいなくクリアランスが確保できます。

ボーリング・ホーニングをすると傷や摩耗部分がなくなって3番目写真のような仕上がりになるわけです。

さて、このように内径をきれいに仕上げるのがボーリング・ホーニングなんですけれども、そもそもどうしてこのような作業が必要になるのでしょう。
何年も乗らずにほったらかしたから? 逆にあんまりバンバン乗りすぎたから?
どちらも正しくはありますけれども、じゃあ、ちゃんと丁寧に乗ればエンジンにボーリングは必要ないのでしょうか。

ピストンリングというのはバネのように拡張してシリンダーと擦れ合うことで、爆発による高い圧力がピストンとシリンダーの隙間から逃げることなく、圧力の全てがピストンを押し下げるようにがんばってくれているわけです。

またピストンも実際にはシリンダーに触れて擦れ合って動いています。特にピストンの下部のピストンスカートと呼ばれる付近はシリンダーと接触しています。

この両方の部分が発生する抵抗がエンジン全体の抵抗の30%と言われるくらい大きな抵抗なんですね。

それだけ強く擦れ合っているから、いかに優れた耐摩耗性を誇るスリーブ材料を使っても、またリング側に摩耗に強く同時に相手を傷つけないメッキがしてあっても、毎分1万回転も回るエンジンの中でいつかはスリーブが摩耗してしまうことはしかたがないことと納得していただけると思います。

もうひとつエンジンの中でピストンはコンロッドを通してクランクと繋がっています。クランクの動きを考えていただくとクランクの軸に対して直角の方向にピストンが強く押し付けられることがわかると思います。爆発力はピストンを真下に押そうとしますが、言ってみればその力を横にも伝える事でクランクが直進運動を回転運動に変えているわけですから、その横の方向にピストンが強く押されること自体がエンジンの本質的な機能であり宿命だと言えると思います。(余談ですが、このフリクションを少しでも減らそうというのが田口さんのロングコンロッドの発想なんですね!)

そのためにシリンダーは必ず楕円に減って行きます。もとは真円の内径がクランク軸に直角の方向だけが強く摩耗して楕円になっちゃうんですね。
こうなるといくらピストンリングが拡張してシリンダー内径に沿おうとしても、楕円の膨らんだ側では沿う事ができず、圧力がクランクケース側に逃げてしまいます。

やはりシリンダーの内径は真円でなければなりません。
つまり一度楕円になったシリンダーの内径を、また真円に戻す。これがボーリングの意味です。

そのためには楕円の一番大きくなったところよりも、もう少し大きな真円に削りなおして、それにあったピストンをいれてやればいいわけです。
これがオーバーサイズピストンですね。通常オーバーサイズピストンはスタンダードに対して0.25mm,0.5mm~1.00mmくらいまで用意されています。
これを以前はエンジンのメーカーが用意していたのですが、数年前から日本の4メーカーはこれを用意しなくなってしまいました。現在はアフターパーツメーカーさんが頼り、という状態です。

さて、よくお客様から測定ができないので、ピストンサイズをそちらで決めてください、というご依頼をいただきます。
この時、スタンダードから0.25mmサイズを飛ばして0.5mmにせざるを得ないことが、割とよくあります。
これがお客様にしてみれば残念に思われることも多いようですので、この機会にご説明をしてみたいと思います。

0.25mmのオーバサイズを選択した場合、これはピストンの直径がスタンダードより0.25mm大きいということです。
そうしますと、シリンダーの壁の削る量は直径で0.25mm、すなわち実際にシリンダーに当たる刃物が削る量は片肉で0.125mm
ということになります。

ここではシリンダーが多くのエンジンの摩耗限度の0.1mmくらい摩耗していたからボーリングすることになったのだとしましょう。
そうしますと、0.25mm-0.1mm=0.15mm、その削り量は半分ですから0.075mmしか削り代がない、ということになります。この時点で既に切削加工の取り代としては不十分です。
摩耗量とは別に上のGT380のシリンダーにも見えるような縦傷がついているとします。もし指先の爪がひっかかるようだとその傷は0.05mmくらいあると言われています。
残りの0.075mm-0.05mmは0.025mmしかないことになります。
これでは切削加工の取り代としてはまったく不十分です。最低でも一桁上の0.1mmくらいは取り代が欲しいところです。
かといってホーニング加工だけでは表面はきれいになりますが、真円に内径を削る事ができません。

摩耗限界をもう少し超えていれば、削り代はまったくないことになります。つまりこれでは傷や摩耗部分をとりきることができないんです。

このような理由でちょっと摩耗が進んだシリンダーではひとサイズ飛ばして0.5mm大きなピストンを採用するということがよくあります。

オーナーさんとしては、大事なエンジンをできるだけ長くお使いになりたい。そのためには一度でも多くボーリングできる可能性を残しておきたいというお気持ちは私にもよくわかるのですが、残念ながら上記のような理由でご希望に添えない場合もありますので、ご理解いただければと思います。つまり順等に摩耗が進んだシリンダーでも2サイズ大きなピストンを採用せざるを得ないというのは、珍しいことではないんです、というお話でした。

当社では加工前提であれば測定やサイズの決定は無料で承っております。お気軽にお申し付けください。

ああ、またまたチョウ長文になっちゃいました。

内燃機の話を短くまとめるのはとっても難しいです。
こんな解説でもよろしければ、このあとも「なぜなぜ内燃機?!」のカテゴリーを少しづつ書いていきたいと思いますので、おつきあいください。

次回はヘッドの話で、なんで擦り合わせだけじゃだめなの?ガイド交換だけでシートカットはしなくていいです。っておっしゃってもそうはかないんですって言うことあたりを解説したいと思います。
よろしくおつきあいください。




 


posted by sotaro at 11:13| 埼玉 ☁| Comment(2) | TrackBack(0) | なぜなぜ内燃機?! | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年04月23日

ヘッド加工

 画像はFlyWheel誌、次号の広告案です。


なぜなぜ内燃機?! 第2回はヘッド編1シートカットです。

ヘッドのご依頼をいただく時に、「擦り合わせでお願いします。」とオーダーをいただくことがあります。
もちろん、シートリングの摩耗が軽微で擦り合わせだけできれいにシート面が復活できることもなくはありません。
そういう場合にはもちろん擦り合わせだけの仕事もさせていただきます。

ですが、擦り合わせだけでは圧縮が出るようにならない場合もあります。
ある程度以上摩耗が進んでいたり、カーボンの噛み込みでシート面に凹部があったりする場合には、この傷がとれるまでシートリングを加工して削り落とさなくてはなりません。シートリングのバルブ面は当たり面とその内側・外側の3つの面からできています。IMG_5167.jpg
バルブとシートリングを摺り合わせる事で修正できるのは、このなかの当たり面だけです。

使用による摩耗によってこの当り幅は太くなっていきます。擦り合わせをすることによってもまた当り幅は広くなります。
広くなりすぎると面圧が下がってしまいますので、もう一度細くしなくてはなりません。
そのためにシートカット(シート研磨とも言います。)が必要なんです。

当たり面以外の2面を削ることによって、シート幅を細くすることができるんですね。

摩耗を考えると、ここはなるべく細く仕上げた方がいいことになります。ですがあまり細いと圧縮を逃さないようにするのはたいへんです。
そこでこの幅にも規定値があって0.8mmとか1.0mmなど、その機種によって適切な当り幅が指定されています。
これはサービスマニュアルに数値が載っているはずですのでご参照ください。

またこの当たる位置は本来中央部であるべきものです。摩耗していくとだんだん外アタリになっていきますので、それを考慮して耐久性重視で内アタリをご希望になるお客様もいらっしゃいます。
それとは逆に意識的に外アタリにすることもあります。これはバルブの径が大きくなったのと同じような効果が僅かですがありますので、レーサーなど耐久性よりパワーが重要な場合には外アタリが採用されることもあります。

当社のバルブシートリフェーサー(バルブシート研磨機)はスイス製で5年前に導入しました。たいへんに優れた機械で芯だし作業が素早く自動ででき(この動きが面白いんですよ) 圧縮洩れのバキュームテストまで機上でできてしまいます。 導入時のblog IMG_5168.jpgトップの写真は工場長ですが、工場長はそのあと光明丹で再度のチェックも欠かしません。

シートカットは何度か実施することができますが、あまり削っていくと、バルブの突き出し量が多くなりすぎて、ヘッドの調整範囲を超えてしまうことになります。その場合にはシートリングを製作するなどしてシートリング交換をします。

ガイド交換についても書く予定でしたが、長くなりすぎるようですので次回もヘッド加工のお話をしようと思います。
芯だしの動きを動画でご紹介なんていうのも愉しそうですね。




posted by sotaro at 09:05| 埼玉 🌁| Comment(0) | TrackBack(0) | なぜなぜ内燃機?! | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年11月02日

内燃機屋とはなにか。

DSCF1039.jpg
21世紀の現在、内燃機屋(ボーリング屋)というビジネスモデル自体が世の中全体ではすでに過去のものと思われている節があります。
絶滅危惧種などとも言われているくらいで、エンジンやクルマやバイクが使い捨てにされてしまう時代である21世紀にはそれもまあ仕方がないことかとも思います。

チューニング屋さんかと思われたり、バイク丸ごと持ち込むので修理を頼めるか、と訊かれたり。BBSを見ていただけるとわかるように、このようなお問い合わせがなくなることはないようです。

でもね、少なくとも20世紀のあいだ、あるいはエンジンというものが発明された当時はまさかエンジンを使い捨てにしてしまう時代が来る、などとは考えられていなかったと思うんです。
エンジンは修理していつまでも使うもの、だったんです。

IMG_8589.jpg

その証拠に21世紀に入っても2006年まではバイクメーカー4社は「オーバーサイズピストン」を用意していました。その年に各社一斉にオーバーサイズピストンの供給をやめてしまいました。
(でも、ふざけたことに海外ではいまだに売ってるんですよ。日本のエンドユーザーはなめられているんですね。)

オーバーサイズピストンを入れる。そのためにボーリング・ホーニング加工をする。クランクが痛めば分解して部品を交換して組み立て直す。ヘッドもそうです。これがボーリング屋の本来の仕事であり、そのことでエンジンは新品と同等に、あるいはそれ以上にまた元気にスムーズに回るようになる。

だって、エンジンのシリンダーブロックのどこが痛むわけではない。激しく摺動せざるを得ない内径だけがわずかに0.1mmほど磨耗しただけで、他のどこも壊れていないエンジンをどうして捨てる必要があるんですか!

確かに日本は第2次世界大戦後にそういう量産志向の大量生産・大量消費・大量廃棄の社会システムを作り上げることによって、一時は「世界の工場」とまで呼ばれ世界2位の経済力を得るに至った、このことは否定のしようがありません。

でも、21世紀になって、世界中でそんなことをやってたら「もう地球が保たない!」っていうことにみんなが気付いているわけですよ。

それなのに、まだそんな使い捨ての文化にしがみついて経済成長しようっていったって、無理じゃないですか。地球環境が壊れちゃったら(人間が住みにくいほど環境を変えてしまったら)自分の国や自分の会社の利益ばかり追い求めても、どうにもならなくなるでしょう?

もうすこし視野を広げないと。

DSCF0801.jpg

iBはたまたまかもしれませんが、62年前の創業のその時から傷んだエンジンを直して使うことを業としてきました。僕はこの会社を引き継いでしばらく経って、その価値に気づいたんです。

これこそ、21世紀に価値ある仕事じゃないか。
旧い20世紀の機械遺産とも言えるようなエンジンのついた乗り物をお客様と一緒になって、未来に残していく。

お客様にはオトナの魅力的な趣味として旧い乗り物を直すこと、またそれに乗ることを愉しんでいただけるように提案していく。

そのことがいつか、世界をほんのすこしペースダウンして、サステイナブルな世界を作ることにつながっていくんじゃないのか。iBの活動だけでそんなことはできないにしても、考え方を示すこと、未来への希望を示すことはできるんじゃないのか。

僕は本気でそんなことを考えて、毎日の仕事をしています。
たかがボーリング屋なのに。ははは。(^o^)

いろいろなPR活動もそれを伝えるためのものです。

僕が仕事を通じて一番に世界に向けて言いたことは、このことだと思います。






posted by sotaro at 09:52| 埼玉 ☔| Comment(4) | TrackBack(0) | なぜなぜ内燃機?! | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年11月05日

内燃機屋とはなにか。-2

私達は旧いエンジンをとても愛すべきものと考えています。
IMG_7677.jpg

中でもシリンダーは私達がもっとも得意としている加工アイテムです。永くシリンダーの製作に携わり、またその加工(ボーリング・ホーニング)にも特別の経験を積んできました。
「内燃機屋」の別名が「ボーリング屋」と言われるのも、内燃機加工のうちで最も代表的なものがシリンダーのボーリングそしてホーニングであったからだと思います。

DSCF1024.jpg
シリンダー内では爆発が起り激しい摺動が行われて、長い間にはどうしても摩耗が進んでいきます。この摩耗を最小限にする方法はないものか。そしてそれでも摩耗してしまうシリンダーを何度でも生き返らせて永遠の命を与える事ができないか。それが、iBが考え続けてきた事です。

DSCF7140.jpg
プラトーホーニングやWPC&モリブデンショットもそのための提案です。耐摩耗鋳鉄「ターカロイ」によるスリーブ製作も同じ目的でした。これらは 多くのかたに高い評価をいただけるようになりました。そして、iBはついに「理想の内径仕上げ」と言ってもいい、シリンダー内径仕上げの究極の手段を 発表しました。

それが「ICBM」です。

ICBMblack.jpg
[ICBM]
= [I]noue boring [C]ylinder [B]ore finishing [M]ethod

シリンダーの内径から鋳鉄スリーブを削り落とし、アルミスリーブを製作・メッキ(プレーティング)をして圧入後、ダイヤモンド砥石でプラトーホーニング仕上げをし面研磨をします。この事で鋳鉄スリーブに比較して、摩耗が圧倒的に少なく、軽量で、放熱性がよく、滑りもいい理想的なシリンダー内径を造ることができます。また、将来的に再メッキや再スリーブ化にも対応して、ほんとうに永遠にお使いいただけるシリンダー再生のサービスをご提供したいと考えています。

iBは内燃機屋として、世の中に対してなにができるのかを考え続けてきました。

iBは、内燃機屋とは、技術の限りを尽くして旧いエンジンを生き返らせることに努め、使い捨ての世の中に抗って、旧いものを大事にする文化に貢献する存在でありたい、と考えています。

ICBMはシリンダー内径仕上げの最終手段であり、iBが到達したひとつの答えです。


posted by sotaro at 14:37| 埼玉 ☔| Comment(2) | TrackBack(0) | なぜなぜ内燃機?! | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年11月06日

内燃機屋とはなにか。-3

先が見えない内燃機加工業を引き継いだ後、僕はこれからどうしたらいいのか、なにをやったら生きていけるのか、僕なりに真剣に考えてみないではいられませんでした。


IMG_7642.jpg

父が(株)井上ボーリングを創業した頃には今よりはるかに傷みやすく、毎年車検のたびにボーリングをしていたというエンジンというものが、ピストンリングにハードクロームメッキがされるようになって磨耗が激減し、飛躍的に寿命が延びて車体よりも寿命が長いくらいになってしまいました。
つまりボーリングをする必要がなくなってしまったのです。

一方ではそんなに耐久性を増した耐久消費財であるはずの自動車が、大量生産され価格が下がり庶民にも手がとどくものになり、大量消費・大量廃棄されるようになっていく、、、。
いったいなにが起こっているのか。

そんな激変する時代環境のなかでボーリング屋はなにをしていけばいいのか。これから日本はどうなっていくのか。世界はどうなのか。多くの内燃機屋さんが廃業していくなかで、iBはいったいなにをどうするつもりなのだ!

仕事を続けていくことの困難さを数え上げれば、キリがありませんでした。ヤメる、という選択をすれば、それはむしろ自然なことで誰にも反対はされなかったかもしれませんね。

でも、僕はなぜかその選択はしませんでした。

DSCF0746.jpg
なぜって、僕には内燃機屋には未来があるように思えたんです。
いったい八方塞がりのように見える内燃機業界のどこに未来があるなんて思えたのか!

いや、それ以前に日本はこれからが面白くなる。世界はすごい勢いでよくなり続けている。考えればかんがえるほど、今でも僕にはそう思えるんですが、それはなぜだったのか。

それと同時に、世界が間違いなく進化を続けているのに、多くの人はその意味や価値をうまく捉えられず未来が不安に思えているらしい、ということも感じられるようになってきました。
140621_TM_7128s.jpg

内燃機屋が世に珍しい業態になってしまったこともあって、iBは内燃機屋がなんであるのかを世の中に説明しなくてはなりません。僕はそのついでに、世界が僕にどのように見えているのか、ということもぜひお伝えしていきたいと考えているんです。
それはきっと多くの方に人生を愉しんでいただくためのヒントになるんじゃないかとおもうんです。

DSCF1064.jpg

iBはこれからもPR活動に力を入れていきたいと思います。

その理由は上記のように内燃機屋の存在理由を説明する必要があるのと同時に、「世界をどのように読み解くのか」 このことをお伝えしていくことももしかしたらまたiBの大きな存在理由になるのではないか、と考えるからです。

DSCF9840.jpg

このあとも折を見て、iBの考えていることをお伝えできればと思います。
今後ともこのiB blogをよろしくお願い致します。

posted by sotaro at 08:24| 埼玉 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | なぜなぜ内燃機?! | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年12月25日

Z系のシリンダーの問題点

かねてからZ1・Z2などのカワサキのシリンダーについて、鋳鉄スリーブの圧入しろが緩くシリンダーの中で回ったり抜けたりしてしまうということを提議してきました。

先週お客様からご支給のあったGPz1100のシリンダーがまさにこの問題で状態が悪かったので、ご報告します。

お客様のご依頼はご支給の鋳鉄スリーブに入れ替えのご希望でした。
そのためシリンダーに熱をかけたところ、モクモクと白煙があがったということです。
スリーブを抜いてみたところ、画像のような状態でした。

IMG_3472.JPG
IMG_3469.JPG
IMG_3470.JPG
IMG_3471.JPG
このようにスリーブが油まみれになっていたため、白煙が出たものです。

エンジンオイルがスリーブとシリンダーバレルの間の隙間に入り込んでしまっていたことがわかります。
Z1/Z2などでは頻繁にある事態なのですが、問題はこのGPz1100に関しては嵌合の緩さが原因ではなかったということなんです!
嵌合は0.1mm近くあり、実際冷えた状態のシリンダーではスリーブはしっかりとはまっていて、抜けることはありませんでした。
それにもかかわらずこのようなオイルの侵入が実際に起こってしまっているのです。

これはつまり、嵌合がしっかりととられていても、やはりアルミのシリンダーバレルと鋳鉄のシリンダースリーブでは熱膨張率に大きな差があり、エンジンに熱がかかるとその時点で隙間ができてオイルの侵入が起こってしまう、ということに以外に原因は考えられません。このシリンダーにはスリーブ下部にO-リングも装着されていましたが、効果はなかったようです。

現代のバイクでは大半のスポーツモデルではアルミメッキシリンダーが使われており、鋳鉄スリーブは使われなくなっています。その大きな理由がここにあると思います。

嵌合がしっかりしたGPz1100ですらこのようになるのですから、まして嵌合の緩いZ1やZ2で当時ものの鋳鉄スリーブをそのままボーリングして使用するという選択肢はあり得ない、ということがこの例からもご理解いただけるのではないかと思い、ご紹介してみました。

ただし、GPzのシリンダーがすべてこのようになるということではなく、使用状況などによっては問題のないものも当然あります。しかし、この問題は鋳鉄スリーブが根本的に抱えている問題だということの例としてご紹介したものです。

アルミメッキスリーブICBMR をご採用いただければ、この問題を完全に回避できます!シリンダーバレルもスリーブもともにアルミになれば、膨張率がほぼ同じになるからです。

さらにもう一点。
実は今回のご依頼はバレルアップ(大きい径のピストン/スリーブを入れるためにシリンダーのスリーブの入る孔を拡大する加工)のご希望でした。この加工をすると、本来の純正スリーブより孔が大きくなるため、バレルの構造上バレル内径が破けてしまう可能性が高いのです。上でご覧のような状態でさらに破けてしまってはどうにもならなくなります。
ここをICBMR (アルミメッキスリーブ)にすることで、仮に破けても膨張率のほぼ等しいアルミ同士ならスリーブとシリンダーバレルの高い密着を実現してオイルの侵入を食い止めることが可能なんです!!

inoueboring-img1200x900-1512526038rrld3820264.jpg

この点だけでなく耐久性・軽量・滑りがよく焼きつきにくいなど、多くの美点を持ったZ1/Z2-ICBMR については下記の動画でもご紹介していますので、ぜひご覧いただければと思います。

ICBMR で行こう!.jpg

ただいまセール開催中です。
下記iBヤフオク出品リストからご覧ください。
https://auctions.yahoo.co.jp/seller/inoueboring
posted by sotaro at 11:26| 埼玉 ☔| Comment(0) | なぜなぜ内燃機?! | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は90日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。