ボーリング後のホーニング仕上げの技術でプラトーホーニングというものがあるのをご存知でしょうか。
表面処理などによらず、機械技術でできる加工としては極めて精巧なもので、
エンジンの内径仕上げ技術として大きなメリットもあります。
まずは画像をご覧ください。

上が第一工程のホーニングを終えた内径を面粗度計で測定したグラフです。
下は仕上げのプラトーホーニングを終えた内径のグラフです。
(条件によってはホーニングを3工程でおこないます。)
このグラフですと、下側がスリーブでピストンは上側を摺動することになります。
上のグラフは全体に面粗度が粗いのと同時に上側にとがっているところがあるのがわかると思います。
一方、下のプラトー後の表面はピストンが摺動する面がずいぶん平らになっていますね。
その上、下側には尖った谷がところどころにちゃんと残っています。
プラトーというのは高原という意味です。このグラフの形状が尖った山でなく、高原状になっていることを
指しているのでしょう。
この結果ピストンが摺動する面は平滑で、しかも深い谷が残ってオイル溜まりの役割も果たすという
理想的なシリンダー内径を最初からつくることができています。
通常のホーニング加工を終えたままのシリンダーは上のグラフのようなものです。
慣らし運転をちゃんと丁寧にやっていくと、尖った山の部分が摩耗して、下のグラフのようになるわけです。
実際は通常のホーニングはプラトーの第一工程よりはもう少し細かく仕上げます。
上のグラフは面粗度の単位で5Sくらいですが、通常のHGは3Sくらいに仕上げています。
プラトー後の高原部分のみは 0.4Sくらいになっています。(約1/10ですね)
プラトーホーニングの実際的なメリットとしては
1.馴らし運転の時間を大幅に短縮できる。またはなくすことができる。
2.精度が高いため、ピストンクリアランスを最小限に設定でき、パワーアップが見込める。
3.摺動抵抗が少なくエンジンのピックアップが向上する。
4.オイル溜まりが深く焼き付きにくい。
5.エンジンの初期摩耗が少なく長持ちする。
と言われています。
大きな自動車メーカーでは量産時に既にこのような仕上げがおこなわれています。
最近クルマを買っても馴らし運転の必要がなくなっている理由のひとつが、このプラトーです。
シリンダー内径とピストンというのは、エンジン内の最大の摺動部分ですからね。
まー、加工する立場でいうと、そうとうめんどくさいです。(^^;;;
なにしろ、下穴のボーリングから真円度を高くし、寸法管理をしっかりしないといけません。
第一工程のホーニングも適度に粗くしかも下穴として寸法がしっかりできていないと、
仕上げ後の谷の残り具合がかわってしまいます。
ここまでがしっかりできれば、仕上げのホーニング自体は面粗度をあげて最終寸法をしっかり出せば、
理想的なプラトーの内径ができることになります。仕上げには専用の特殊な砥石を使います。
よそのボーリング屋さんやチューナーさんでもプラトー仕上げを謳っているところはありますが、
ちゃんとやってるところはどうも少ないように思います。
プラトーホーニングを単なる「細目の仕上げ」としてカタログに載せていたり、
(焼き付いてもしらないよー)ちょっと話しを聞いたら
面粗度計を持っていない、なんていうところもありました。そんなんでプラトーができるわけがありません。
ウチではちゃんとしたプラトーホーニングをやりますよ!
ご希望の方はぜひ「プラトーで」とご指定ください。
値段は現在キャンペーン中で、低めの設定をしております。
通常のボーリング・ホーニングより3割ほどは高くなりますが、
大事な愛車のエンジンに最高の加工技術を投入してみる、というのもいいんじゃないでしょうか?!
馴らしも楽ですしね。
INOUE BORINGのプラトーホーニング、ぜひお試しください。