2022年07月19日

EVER SLEEVE(R)pat.について 7

・膨張率の均一化

比較的地味なトピックと思われがちなこの膨張率の均一化という問題ですが、これが実に多くのエンジンの課題を解決してくれる重要な問題なんです。iB自身もこのことの本当の意味に気づいたのはすでにICBM(R) の生産・納入がかなり進んだ後のことでした。
シリンダーバレル本体とスリーブが両方ともアルミになり、オールアルミのシリンダーであるということは想像される以上にエンジンというものにとって重要なことだったんです。

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まず第一に解決された課題はZ1/Z2などの元々の鋳鉄スリーブの場合に発生するシリンダーバレルとスリーブの間に永年の使用で隙間ができてしまう、という問題です。
これはすでによく知られた問題点で、ボーリングのためにお送りいただいたシリンダーがiBに到着するまでに緩んでしまって抜けているというようなことは頻繁にあります。また抜けていない物でもちょっとプラスティックハンマーで叩くと抜けてしまいます。このようなものをそのままボーリングやホーニングをすると加工の際の力でスリーブが回ってしまって危険なため、加工することができません。
なんとか加工ができても、エンジンが稼働して熱がかかるとシリンダーバレルと鋳鉄スリーブの間に隙間ができてしまい、熱伝導が阻害されさらに隙間が大きくなってしまいます。こうなるとスリーブは中空に浮いている状態で上部のツバの部分だけで支えられる状態になりますから、熱伝導ができず、スリーブが振動して異常摩耗が発生することにもなります。
これはすべてアルミと鋳鉄では膨張率が約倍と大きな差があることが原因ですから、スリーブをアルミにしてしまえばまったく発生するはずがないトラブルです。
重くて摩耗する鋳鉄スリーブを選ばなくてはならない理由がなにか他にあるのなら別ですが、アルミメッキスリーブが入手できる現代において鋳鉄スリーブを選ぶ理由はコストの僅かな差以外にはないのですから、エンジンの再重要部位・心臓部であるシリンダースリーブには多少のコストをかけてもアルミメッキスリーブを採用していただきたいものです。

第二点としてはピストンとも膨張率の差がなくなることで、クリアランス変化が少ないエンジンになるということです。エンジンは始動前は冷えていて、始動して熱がかかると各部品が熱膨張します。ところが中心部のピストンが膨張率の大きいアルミで、外側を囲むスリーブが膨張率の小さい鋳鉄というのは考えてみれば最悪です。中でピストンが大きく膨張して、外側のスリーブはその半分しか膨張しない、だから大きくクリアランスをとっておかないと焼き付いてしまうわけです。一方クリアランスを大きくとれば、エンジンが温まらないうちはクリアランスが大きすぎて調子が悪い、ということにもなります。
ところがピストンがスリーブも含めてオールアルミのシリンダーの中にあるのなら、大まかにはピストンが膨張したのと同じだけシリンダーの方も膨張するのですから、焼きつきの恐れは大幅に減少しますし、エンジンが冷えていてもクリアランスはほぼ一定に保たれているわけですから、いわゆるオーバークールという現象もすくなくともこの部分に関しては発生しない、ということになります。
レースなどでは当初のクリアランス設定を限界まで小さく詰めることも可能になりますので、圧縮を逃さずその分のパワーアップも見込めるということになります。

第三点として、一部の鋳鉄ウェットライナーを採用している機種においては、エンジンが熱くなると鋳鉄スリーブを支えているアルミシリンダーバレルが膨張してしまうので、そこから冷却水漏れを起こすということがあります。画像のGPZ900Rや4輪車ですがHONDA S800などがこの例になります。S800などではこれがエンジンの欠点として広く認識されているそうです。ここから水漏れが起こると止めようがないんですね。エンジンを全部分解してスリーブを抜いて対策をするのですが、それも鋳鉄スリーブではまた同じことの繰り返しになってしまいます。
アルミメッキスリーブなら、もちろんこの問題も起きません。それだけでなくウェットライナーは鋳鉄のスリーブ外径が冷却水に浸かっているのでここが錆びてしまい、この錆がいずれはラジエターやウォーターポンプなどあらゆる部分に回って悪さをすることになります。アルミメッキスリーブなら、この問題もいっさい起こるはずがなく完全にクリアーできます。

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さらに重要な発見がありました。これが第四の重大なメリットであり発見であって、この発見によってEVER SLEEVE(R) pat.(エバースリーブ)は特許をとることができました。
この点については長くなりますので、項をあらためて解説したいと思います。
posted by sotaro at 10:04| 埼玉 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | エバースリーブ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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