
・軽さについて
アルミニウムの比重は2.7。鉄(7.8)と比較すると約3分の1の軽さです。
この軽さという点については特に難しく解説する必要はないかもしれませんね。
例えば4気筒のエンジンの場合ですと、(内径の設定次第ですが)スリーブ4本で2kg以上の軽量化になります。
レースなどではオートバイの車重の軽量化のためには涙ぐましい努力が行われますよね。さまざまなパーツに穴を開けることで軽量化するというような手法まで取られます。多くの場合、軽量化は剛性の低下などの限界を見極めながらデメリットが出ないように注意深く行う必要があります。軽量化と剛性低下のどちらを取るかという二律背反の限界に挑むことになります。
ところが、お気づきのようにアルミメッキスリーブ化の場合には、そのことによって大幅な軽量化が達成されるばかりでなく、それ以外にも影響はメリットばかりです。
・圧倒的な耐摩耗性(ヴィッカース硬度=Hv2000!)
・低フリクション(リングの摩耗も減少)
・焼きつきにくい
・優れた放熱性
・膨張率の均一化
・そして錆びない!
このような数多くのメリットと同時に「軽量化」という大きなメリットもまた手にすることができるわけです。
このようにメリットしかないアルミスリーブ化をせずに、どうして重くて摩耗する鋳鉄スリーブを使い続ける必要があるのでしょうか。
コストという問題はありますが、iBの加工費定価で計算すればその差はシリンダーオーバーホール内燃機加工工賃合計の20%程度にすぎません。(鋳鉄スリーブ製作入れ替え209,000円対ICBM(R)264,000円)
これは部品単体での価格差ですから、エンジンの分解組み立て調整に必要な工賃(あるいはご自身の手間)を含めて考えれば、両者の差はさらに小さなものになります。
さらに後々ご説明しますが、エバースリーブ(EVER SLEEVE(R)pat.)をご利用いただき、iB以外の内燃機屋さんをご利用になることでさらに価格差を縮めることができる可能性すらあり得ます。また、完成品スリーブの支給によって納期短縮も可能になるでしょう。
オートバイにとって「軽量」というメリットはほんとうに計り知れないものがあります。同じ出力のエンジンであっても、またブレーキ性能が同じであってもその効果には大きな差が出ることになりますし、さらにコーナリングにおいてもメリットがあります。
特にエンジン上部のシリンダーの位置において、2kgもの軽量化が他のメリットと同時享受できるということの意味はかなり大きなものがあると思います。その結果としての低重心化はコーナーの連続での切り返し時などに実感できるであろうことは容易にご想像いただけることと思います。
ブースでの展示でも、鋳鉄スリーブ単体とエバースリーブ単体を手にとったお客様にはいつもびっくりされています。1/3の軽さというのはほんとうに想像以上ですからね。
ぜひ、サーキットなどでiBブースを見かけたら、お手にとってみてください。