
よく話題になることですが、表題のようにクラシックカーやヴィンテージバイクの値段がべらぼうに上がっているようです。
これから世界はインフレに見舞われるのかもしれませんが、それとは無関係にすでに旧車の価格は急騰しています。
このことをどう考えればいいでしょうか。
iB井上は旧車価格の上昇を基本的に歓迎しています。
僕たちが愛して大切にしているもの。そのものに対する世間の評価が上がっているのですから、歓迎すべきことですよね。
では、どうしてそれが起こっているのか。
それはエンジンの大量生産が近い将来終焉をむかえることがあきらかになってきたことと無関係ではありません。
日本は純粋なICE(内燃機関車)の販売を2035年以降禁止する、ということになっています。
一方、その内燃機関は20世紀に大発展し、世界中で使われまた愛されてもきました。
それがそのうちなくなってしまう、ということが明らかになってしまったのです。
それは価格だって高騰するでしょう。
ですから、旧車価格の高騰は一時的なものやブームではないと考えていいでしょう。
新車を生産するメーカーやその部品生産に携わるお仕事をされているかたにはほんとうにたいへんな時代になったものだと思いますが、
我々内燃機屋にとってはなんとも幸運な時代に差し掛かっているのかな、と思います。
旧いエンジンを直すことをずーっとやってきたのが内燃機屋なのですから。
やっぱりエンジンっていうのはほんとうに素晴らしいものなんですよね。
人類が産んだ機械メカニズムの最高傑作がエンジンでしょう。
時計やカメラも素敵ですけれども、なんと言ったってまたがって走ってどこにでも行けちゃうオートバイなんて、
ほんとうに夢のような機械です。
しかもオートバイの場合、ちょっと勉強すればそのエンジンを自分でいじれるんですよね。これまた大きな魅力です。
クルマのエンジンはちょっと大きくて大変ですし、時計だと小さすぎてちょっと素人ではいじれませんよね。
ほんとうに魅力いっぱいのエンジン。それが近い将来作られなくなろうとしている。
手が届くところにあるそんなエンジンを愛する僕たちが、大事にして残していかなくてはなくなってしまうのかもしれません。
実は世界もそのエンジンの素晴らしさに気づいている。
だからこそ、エンジンのついた旧い乗り物の価格が上がっているのだ、と考えるべきなのだろうと思います。
つまり、「エンジンは本当に貴重な人類の宝だから」というのが価格高騰の理由なんだろうと思います。