2022年01月23日

iBがビレット(削り出し)パーツに挑む理由


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エンジンの時代が終わりを迎えつつある世界の中で、旧いエンジンの部品供給もますます不足していくことは容易に想像されます。

現在でもほんの一部の銘車の部品が復刻されたりしていますが、その一方会社によっては供給状況が劇的に悪化してしまったところもあり、
内燃機屋としては日々の部品調達に苦労する日々が続いています。

ただ、そんな中でも例えば英車の部品やiB井上が愛するBULTACOのパーツなどはなんでも手に入るという状況もあります。
これらのメーカーはとっくに廃業してしまっているのにも関わらず、です。やはり欧米の旧車趣味の懐の深さというのを感じざるを得ません。

我々日本人もメーカーの対応の悪さを嘆くばかりではなく、自分達でなんとかすることを考えなくてはいけないのではないか。
iBは常々そう考えてきました。

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そんな中、近年3Dの加工技術が飛躍的に進歩してきました。
3D CAD/CAMでマシニングセンターや複合加工機を使って、3Dのモデルさえあれば金属の塊から自動的に加工プログラムを作り出して加工ができてしまう、そんな夢のような技術が現実になってきたんです。またモデリングも3Dスキャナーを使うことで随分省力化することができます。

iBには量産加工に使っていたマシニングセンターやNC旋盤があるので、あとは3D CAD/CAMの技術を手に入れれば、部品の削り出しは可能なのではないか。
通常はエンジン部品などは型を造って鋳造することで量産されるものと決まっています。もちろんそれはその方が単価が安く量産できるからです。
それを単品で削り出しなどしていては到底コストが合わないに決まっています。それが常識です。

ただ、このコストの点さえ無視できれば、実は単品加工はメリットだらけなんです。鋳造アルミは鋳造欠陥を必ず抱えています。素材自体鋳造よりも精錬されたアルミ素材の方が強度・放熱性・均一性などあらゆる点で優れています。

また型で作ってしまうと容易に形状が変更できず、同じものしかできませんが、単品製作なら形状の変更も自由にできます。それにF1やGPマシンの部品はそうやって削って作られています。

であれば、iBは削り出し部品に挑戦してみたい、そう思いました。
(これがiBの非常識ですね?笑)

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コストというのは決して無視できない問題ですが、削り出しの技術はますます進歩していくでしょうし、iBもコストダウンの技術を磨いていきたいと思います。一方で、世の中の旧いエンジン部品の需要は今後高まる一方だと思います。
昨今のクラシックカーやヴィンテージバイクの価格高騰からもそれは見て取れます。

グラフに書いたとして、コストの曲線は右下がりになっていく、一方需要の方は右肩上がりで上がっていく、その需要とコストの曲線が交差する未来のどこかのポイントで、この削り出し部品のビジネスが成立するようになるのだろうと考えているんです。

市販をあまり意識しないiBの技術の象徴としてはすでにH2-Billet Cylinderを完成させ、テスト走行も終わっています。
ぜひ下記の記事をご参照ください。(3本の記事になっています)
https://www.ibg.co.jp/web_sherpa/pg2410501.html

今回のクラウドファンディング"MAKUAKE"での応援購入お願いの試みは、この可能性を探るものです。

今後展開していく削り出し製品の第一弾としてマッハ750ss H2-Billet Headを選びました。
iBではすでにH2-ICBMのシリンダーを69名のお客様に納入した実績があります。そういった点で、H2は確かな需要が見込まれる機種だと考えています。

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もし、このH2-Billet Headが成功すれば、その後にもいろいろな企画が実現の日を待ち構えています。
まだほんとにアイディアの段階ですが、H2に続いてH1やミドルトリプルのヘッド、RZ350などの水冷ヘッド、それから以前から進めているRZ250初期型用のシリンダー、それにヘッドがメーカーからリバイバルされた人気のZ1シリンダーなどが候補に上がっています。

かつてiBではSRのスペシャルヘッドを社外メーカーの依頼で生産していたこともありますので、4ストのヘッドも問題なく作れます。
シリンダーは2ストで実績があるので、4ストなんて簡単なものです。

3D削り出しを得意にされるメーカーさんは数多ありますが、エンジン部品を作ったことがあるところは稀のようです。多くの削り出し部品がフタやイタみたいな形状のものばかりのようですが、iBはこのエンジン機能部品製作の過去の実績に加えて3D技術を獲得したことで、両方ができる点が大きな違いだろうと考えています。
(エンジン機能部品の製作というのは膨大なノウハウの蓄積で、これこそが本来の日本の中小企業の強みなんですがね〜。EV時代にこれが失われることは日本の大きな損失だと思います。(;_;))

コンロッドも経験がありますし、分解式クランクシャフトも製作してみました。
ということで、まだ今は夢の段階ではありますが、大概のエンジン部品は製作可能になる可能性が充分あります。
(クランクケースは技術的に難しくはないんですが、めんどくさい。ミッションも専門家に頼む方がいいでしょうね)

エンジン部品が生産可能となれば、どんなに旧いレアな機種だって、未来永劫乗り続けることは可能だ!
ということになるのではないでしょうか。

それがiBが実現したいことです。乗りたい人達がいる限り、その方達のご要望にお応えして、
20世紀の機械遺産「エンジン」を22世紀の未来にまで残していく。

その第一歩が今回のH2-Billet Headなんです。
どうか皆様の応援購入を切にお願いいたします。

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いよいよ1月24日 10:00 MAKUAKE応援購入募集開始いたしました!
いよいよiB初のMAKUAKEが公開になりました!!

https://www.makuake.com/project/ibg/

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【ついに完成!老舗内燃機屋 iBの新たなる挑戦 
    マッハ(H2)削出シリンダーヘッド】
ぜひ、応援購入よろしくお願い申し上げます。
・H2にお乗りでない方々のためにノベルティーや工場見学の応援購入もしていただけます。

時計のメカニズムが凄いったって、カメラがスゴいったって、エンジンのメカニズムに勝るものはないでしょう?
人類が産んだ金属メカニズムの最高峰がエンジンじゃないですか?!

みんなで人類の宝、愛するエンジンを未来に残していきましょう!!




posted by sotaro at 10:41| 埼玉 ☔| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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