2012年10月13日

アルミメッキ化シリンダー[ICBM] 開発の意義と開発ストーリー

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先日アルミメッキ化[ICBM]の受注開始をアナウンス致しました。
以前からこのblogをご覧のかたには、
「やっとですか!「ついに商品化ですか?」
などの反応をいただきましたが、最近FacebookなどでiBのことを知った方にはいささか唐突でなんのことかわからなかったかもしれませんね。

ここでもう一度「メッキ化」の意義と歴史(は大げさか)を振り返ってみたいと思います。

最初にiB製造部ではなくサービス部で内径仕上げにメッキを採用することをおもいついたのはどうやら2004年の秋頃だったようです。これを書くにあたってblogを見返してみたところわかりました。

一番最初はその頃手に入れたBULTACO SherpaTのスリーブを抜いて(焼き嵌め式で外しやすかったので)アルミスリーブを造り「無電解メッキ」を試みることから始めました。
実は一番最初はメッキなしのハイシリコンのスリーブでの実験から始めたんですが、これは素材があまりに高価なのと問題が多く途中で断念しました。その後これまた自分のHONDAビートのブロックを一本だけメッキ化・あとは鋳鉄にして摩耗の比較をしようとしたり、ショップさんのZ1のシリンダーで同様なことを試みたりしました。

その後は4ストミニのレースを始めたこともあり、耐久レースを実験の場として無電解メッキの実証試験とすべくさまざまにメッキの種類・メッキ皮膜の厚さ・焼き入れ処理・表面仕上げ・メッキ前粗さなどを変更しながら無電解メッキの完成に向けて努力を重ねました。「1本からでもどんな径でもメッキができる」無電解メッキのこの魅力に賭けた8年でした。

結論から言うと8年にも及ぶトライの末に今年、僕達は最終的に「無電解メッキ」での実験を一旦あきらめることに決めたんです。なんということでしょう。無電解メッキにまったく可能性がないわけではありませんが、体力のない零細企業であるiBにとって、まったく今までにない種類のメッキ技術を完成させることはあまりに荷が重く、メッキを担当する企業ですら実績もデータもない処理の耐久性・安全性を完全に立証することはあきらめざるを得ないと判断するに至りました。これはiBにとって本当に無念の決断でした。

代わりに、既にメーカーなどで採用され実績のある「電解メッキ」を採用することにしたんです。(実はこちらも平行して開発はしており、2007には一旦「メッキ化RZ-R」という形で一応の完成をみています。)
メッキ化RZ-Rについてはこちら。
http://ibg.seesaa.net/category/3979695-1.html

ではなぜはじめからそちらを全面的に採用しなかったかというと、電解メッキによるシリンダーの内径メッキは技術的に確立されているものの非常に量産に向いた加工で、単品加工にはまったく向いていないんです。たった1個のシリンダーをメッキするためにも1.シリンダーを固定し内径以外にメッキが載らないようにするための「治具」・2.それぞれの内径に合わせた「電極」・3.ダイヤモンドであるために砥石の方が摩耗変形しないためにこれまた各径に対応したダイヤモンドホーニング砥石という3種類の投資が必要になりこれが各機種約100万円もかかるという大きな壁があったためです。
これでは単品加工であるボーリング屋における内径仕上げでは、加工する1機種ごとに100万円の投資が必要になってしまい、とうてい採算にはあいません。お客様だって1回の加工に100万円もの負担をしてくれるはずがありません。無電解メッキをあきらめる、というのは事実上メッキ化自体をあきらめるのに等しい決断でした。

ところが、その後に意外な展開が待っていました。

iBは以前からNSRシリンダーの再メッキ加工については対応してきています。これはNSRが量産されていた時からそのシリンダーの製作をiBが担当していたために、その当時からの長いおつきあいのあるメッキ屋さんに依頼をしているものです。
このメッキ屋さんとは以前よりφ54の内径についてのみは電極と治具を用意していただき、スリーブの内径メッキを依頼してきていました。お気づきのように先日発表したRZ250初期型もこのφ54のメッキなんです。他にもいままでNSR,RZ250R,CB72などをこれを利用してアルミメッキスリーブ化して内径仕上げしてきています。

無電解メッキを断念したあと、そちらのメッキ屋さんと精力的に技術的・営業的・生産技術的な交渉・情報交換を重ねました。その結果として今後は様々な内径のサイズに対してメッキ対応していただけることになったのです!!これができた理由についての詳細は申し上げられないのですが、これが実現したことはほんとうにiBにとって大きな前進になりました。
いままではあきらめてきた内径メッキが技術的には何十年もの実績ある電解メッキで実現できることになったのです!!

結果的には「無電解」を断念してあとがなくなったiBの必死の交渉姿勢が「電解メッキ」に道を開いた、ということになるんだと思います。

ざっといままでのメッキ開発の経緯をお話ししましたが、長くなりましたのでまた次回「メッキ内径の優秀性」について詳しくご紹介したいと思います。

iBの過去のメッキ開発の経緯についてさらに詳しく知りたいかたは右の「検索」窓に「メッキ」とタイプして記事を検索してみてください。2004年当時からいままでの失敗・成功も含めて開発の全容がご覧いただけます。



posted by sotaro at 14:23| 埼玉 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 加工のご紹介 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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