2005年03月11日

超低摺動抵抗エンジン(1)

水素バイクという夢のような開発(?)の話しばかりをしていますが、
当社では実はそれ以外にも、いまとても力を入れて開発していることがいくつもあるんです。
そのうちの一つをご紹介しましょう。

今一番期待しているのが表題の、エンジンの摺動抵抗をうんと減らそう、という製品です。
製品というよりは技術の組み合わせということになるかもしれません。

先日来、「プラトーホーニング」の技術をご紹介をしたところ、たいへんご好評をいただいています。
ほんとうにありがとうございます。これはシリンダーの内径の仕上げに関する機械的な仕上げ方法としては
かなり優れた技術だ、と自負していますが、これはエンジンパーツの中のシリンダーだけの話しであって
エンジン全体を考えると少し片手落ちな感じがします。

擦れて動くのはシリンダーとピストン、ピストンリングであって、シリンダーだけでは完結しないことになります。
馴らしの短縮という意味ではアルミのピストンのスカート部を細かいペーパーで磨くというようなことでも
効果は得られるようですが、摺動抵抗の低減という点ではもの足りません。

そこで、現状はピストンへのWPC&モリブデンショット加工をお奨めしています。
シリンダーのプラトーとピストンへのWPCでかなりの成果が得られるのではないかと思います。

でも、あとひとつ残っているものがあります。それはピストンリングです。
ピストンリングには通常クロームメッキ等がされて、昔に比べればはるかによくなっていて、
ある意味これがボーリング屋の仕事を減らしてきた、とも言えるかもしれません。(^^;;;
シリンダーが減りにくくなったんですね。

そんなこともあって、いままではあまりこの部分については、大きな興味を持ってこなかったんですが、
最近になっていろいろなコーティング技術が開発されているのを知り、がぜんリングに興味が湧いてきました。
なんと最新の技術でリングにコーティングをすると、エンジンの摺動抵抗を10%も低減できるというんです!
そこへさらにコーティングに合わせた特殊な内径仕上げホーニングをすることで、
その低減がトータルで20%にもなるということなんですねー!!
これはすごいことになってきました。

しかもまだこの技術は大メーカーでさえ、採用していない技術です。コストの問題もあるのでしょう。
量産性に優れた技術ではないのかもしれません。

長くなりますので、また次回ということにしたいと思いますが、最近お客様からニカジルメッキのご要望が
多くなっていまして、技術的にはあらゆるエンジンに適応可能なものの、コスト的にほとんどの場合
引き合いません。(電極製作費40万円、ダイヤモンドホーニング砥石が十数万円などの初期投資が必要)

ところが、このコーティングをすることで、メッキシリンダー以上に優れた低摺動抵抗で耐久性のある
エンジンを作ることができることがわかってきました。
しかもメッキの場合のような初期投資を必要としないんです!!
乞うご期待です。(^o^)



posted by sotaro at 11:38| 埼玉 🌁| Comment(6) | TrackBack(0) | 加工のご紹介 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
メッキを超える低摺動抵抗で耐久性のあるコーティング。夜も気になり眠れない位、興味があります。これが施工可能になったら必ずボアアップします。
Posted by ます形 at 2007年04月25日 12:14
ます形様、コメントありがとうございます。
この技術についてはいま少し保留状態になっています。日付をみたいただくとわかるようにこちらは2年ほど前の記事です。
というのも上に書いたよりもかなり安くメッキができるようになったのが、ひとつの理由です。(2ストで45000円くらい)
あと実験の結果2ストではポートにリングが叩かれてしまって、コーティングが剥げてしまう事がわかったんです。
摩耗にはたいへん強いコーティングなのですが、衝撃には弱いようなんです。むずかしいですねー。(^^;;;

ただ、4ストでは有効な技術のようですし、いずれまた取り組む意義のあるテーマだとは考えています。コストダウンが実現したシリンダーメッキとの組み合わせも今となっては可能かもしれませんね!
このテーマについて思い出させていただく結果になりました。ます形様ありがとうございます。(^o^)

Posted by IB井上 at 2007年04月25日 12:30
久しぶりのコメントです。
もしかして、これが年内に施行可能になるかもしれない無電解メッキにのことでしょうか?
Posted by ます形 at 2012年06月23日 12:17
 高炉メーカーのようにいくら研究費突っ込んでも強度上げる研究だけではだめじゃない?日立金属は機械構造材料の現在の問題点は、摩擦にあるとして、境界潤滑の開発モードに移行している。つまり今までと違う異次元の理論(CCSCモデル)を開発し、自動車、産業機械の高性能化のための鉄づくりををしているわけだ。
 ハイテンは軽量化だけだが、これは軽量化、摩擦損失低減、耐久性能向上の3つが同時向上するという。
Posted by トライボシステム展望 at 2017年04月25日 00:15
これはまたずいぶん旧い記事、12年前ですね。
このあとリングへのコーティングはDLCなどをトライしたんですが、あまり成果を産みませんでした。今はICBMR というシリンダーへのメッキの技術が成功して評判になり、そちらに注力しています。

コメントありがとうございます。
Posted by iB井上 at 2017年04月25日 06:34
島根大学客員教授の久保田邦親博士は、ロボットの巨大化にかかわるブレークスルーに関する理論を発表した。
従来より、ロボットの関節機構は巨大化すればするほど、自重のほうが面積より大きくなるので、関節機構が
ネックになり開発が困難と考えられていた。その境界潤滑問題にナノレベルのメカニズムを明らかにした。
それを炭素結晶の競合モデル(CCSCモデル)というのだが、摩擦面圧を上げるとダイヤモンドが生成しやすく
なり、機械の摩擦損傷が激しくなるのでロボットは巨大化できないとする原因を解明したことになる。
 これに従えば、ダイヤモンドをつくらないトライボシステムを界面にデザインすることでガンダムみたいな
巨大モビルスーツが出来る可能性があることになる。
Posted by 低フリクション at 2018年04月03日 19:40
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