よくいただくご質問に「ボーリングするときはピストンも一緒に送った方がいいですか?」というものがあります。ショップさんでも初めてのお取引きの時には、そのようにお尋ねになる方がいらっしゃいます。
確かに寸法を指定していただければ、ピストンがなくてもその寸法に加工して仕上げる事は可能です。ですが、ピストンをひとつひとつ測定をして、クリアランスをそれぞれ確保して寸法を仕上げるというところが、大量生産ではないボーリング屋のいいところなんではないかなあ、と私は思っています。
経験上、4気筒のボーリングを承ってピストンを4個測定しますと、大きい時には0.01mmくらいのばらつきがあることがあります。量産のピストンを任意に抜き取って4個を選べば、このくらいの寸法公差があるのは止むを得ないことだと思います。(もちろんたまたま全部のピストンがぴったり同寸の場合もあります)このピストンに対して一律に寸法指定をいただいてシリンダーを加工しますと、当然クリアランスも気筒によって0.01mmの差があることになります。量産のシリンダーでは(当社でも量産を致しますが)シリンダー側にも図面指示自体に0.01mmくらいの公差が許容されています。そうしますと、可能性としては、量産のシリンダーとピストンの間では0.02mmのばらつきが有り得ることになります。
実際に量産の精度としてはこれでも各エンジンの性能に大きな誤差はないのだと思います。またこのような許容差を認めなければ、到底量産の価格でオートバイを作る事はできないのだろうと思います。
ところが、我々が承るボーリングの加工は一品料理、言ってみればすべてのご注文が「ワンオフ」であり「オーダーメイド」ということになります。
そこで、ピストンをお送りいただければ、私共ではピストンをひとつひとつ測定して、それに合わせたクリアランスで内径をホーニング仕上げします。ということは、この時点でピストンに例えバラつきがいくつあっても、その分の誤差はここで吸収してしまいます。つまり許容差「0」のピストンを手に入れたのと同じことです。
その上で私共ではボーリングの精度を土0.005mmを狙って加工します。ということは少なくとも量産の場合に比べるとクリアランスのばらつきは4分の1まで減らせる事になります。
もちろん、量産と比べればそれなりの加工単価をいただくわけですから、この精度を出す事は当然のことだと考えています。
それには、ボーリング時にはピストンを一緒に送っていただくことが必要になるわけです。
せっかくオーダーメイドの加工をご利用いただくわけですから、4気筒でしたら、ピストンを4個とも送っていただき、「ナンバリング希望」とひとこと添えてください。ピストンとシリンダーの各気筒に数字をふってお納めいたします。
またクリアランスについても「おまかせ」などとおっしゃらずに、せいぜいわがままなクリアランスを指定していただければと思います。(^^)
2006年03月29日
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