2023年12月25日

あらためて【ICBM(R)】について考えてみる

ICBMR-logoのコピー.jpeg

iBの主力開発商品が登録商標【ICBM(R)】です。
{I}noue boring {C}ylinder {B}ore finishing {M}ethodの略ということになっています。

この名称はインパクト狙いでつけたものでしたが、当初あまり反響は大きくありませんでした。
その頃はICBM(大陸間弾道弾)というものに馴染みのないという人が意外に多かったんです。

その後、北の将軍様がだいぶ頑張ってくれてニュースによくICBMが出るようになり、
その間に我がアルミメッキスリーブの【ICBM(R)】のほうもだいぶ認知されて、
いまではほんとうにiB(株)井上ボーリングの主力商品になっています。


さて、そんなICBMという名称なんですが、最近この名前に意外に深い意味が
あるなあ、とあらためて感じています。

時々お話しすることですが、20世紀は速度の世紀であり競争の世紀だった、ということです。
その競争の最たるものが、戦争ですよね。20世紀には2度も世界大戦が行われてしまいました。

競争の祭典オリンピックも20世紀にはほんとうに華々しいものでした。いまではだいぶ影が薄れていますよね。
開催国で反対運動が起こるようでは、オリンピックの栄華も地に落ちたなあ、と思います。

激しい競争の20世紀には速度はとても重要な意味を持っていました。
よくひきあいに出すんですが、戦闘機の速力が世界で一番速ければ撃墜されずに済む。
とすると軍事力で圧倒的に優位に立てるので、世界征服だってできるかもしれない。
馬鹿げた考えのようですが、当時はほんとにそんなふうに考えられていたのではないでしょうか。

ところが、この戦闘機の速度の意味をなくしてしまったのがミサイルだったのだろう、と思います。
地対空や空対空のミサイルができて性能が上がっていくと、いくら戦闘機が速度をあげても
それだけで攻撃を回避できるわけではなくなってしまった。

それにとどめを刺したのが大陸間弾道弾ICBMだったのでしょう。
もう戦闘機をいくら速くしようが、世界征服などできない。
この時、速度の大きな意味がひとつなくなってしまった、と言えないでしょうか。

その後には旅客機も音速を超えたもののいっときのことで、しばらくするとその速度は顧みられなくなり放棄されてしまいました。


そう、速度の価値を奪ったのがICBMだ、とも言えると思うんです。


そして、我が内径仕上げの最終兵器の方の【ICBM(R)】です。

我々iBの求めていることは「刹那」でなく「永遠」だという主張をしています。

耐久性を犠牲にした瞬間的な速さなどではなく、永遠のような耐久性を持つ内径仕上げにこそ
エンジンが滅んでいくこれからの世界では最高の価値がある、という主張なんです。


本家弾道ミサイルのICBMも内径仕上げの最終兵器【ICBM(R)】も「速さという価値に止めを刺す」という同じ役割を担っているのかもしれません。
ただのインパクト狙いで、まさかこんな意味を狙ってつけた名前ではなかったんですが、意外にとんでもないところで両者は共通した使命をもっているのかもしれません。

オートバイが「速さ」というわかりやすいけれども時代遅れの価値を離れて新しい価値を獲得していくために、意外やわが内径仕上げのメソッドが重要な役割を果たすのだとしたら、ある意味恐ろしいことではあるけれども、、、、僕はそれで本望です。





posted by sotaro at 16:14| 埼玉 ☔| Comment(1) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年12月06日

2スト水素バイクの技術解説 6

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ビッグニュースです!


このCAMPFIREでの水素バイクのプロジェククトを発見した水素吸蔵合金のメーカーの方がiB(株)井上ボーリングにご来社、なんと一番大きな吸蔵合金のキャニスター(ボンベ)をご提供いただけることになりました!
(定価36万円のものです。)
またiB で実験して水素がなくなったら、2日ほどで再吸蔵?してご支給いただけるというんです。これはありがたい。

メーカーさんは株式会社サイテムさんという石川県の会社でわざわざご来社いただき、水素バイクもみていただきました。

3.4リッターの148気圧のボンベに比べると、長さも直径もやや小さく1号機にはそのまま詰めます。おまけに内容量は約2倍くらいに増えそうです。

iBでは以前にもイワタニ様から水素吸蔵合金のご提供をいただき、一緒にエンジン始動実験をやらせてもらっていました。その時のキャニスターよりもずっとサイズが大きく、取り扱いがしやすい形状です。

いぜんの実験の時もエンジンで燃焼するような大量に発生させる使い方だとキャニスターが冷えてしまい、水素の発生がすくなくなってしまう現象が確認されていました。

実はiBの水素バイク開発で1号機での実験を切り上げて2号機に移行することを決めた最大の理由がこのことだったんです。1号機は空冷のTY250Sで2号機はガンマ125の水冷エンジンをベースにしています。
2号機ではエンジンで温まった冷却水で、このキャニスターを保温しようということを考えていました。これは空冷の1号機にはできないことだったんです。

これで2号機の開発がぐっと前進することになります。

あと、サイテムさんから教えていただいたことでいくつか特筆できることがありました。
1.吸蔵合金での水素の発生圧力は0.2Mpa程度(温度で変わる)
これはiBの水素バイクにはちょうど適切な圧力です。この発生圧力が低いおかげで、このキャニスターはたとえば宅配便で運送するこも問題がないのだそうです。
そこで将来的にはコンビニなどでも扱うことも可能です。そうなると例えば水素バイクで走っていてガス欠になったら、コンビニでキャニスターを買って積み替えればいい、ということになります。
これだと高額な水素ステーションなどはいらない、充電時間も必要ない!ということになりますよね。なんと夢があるお話しでしょうか。

2.水素バイクをやっているとしょっちゅう「水素脆性」があるからそんなのダメだ、っていう人がいるんですが、なんと0.2Mpaのような低圧では水素脆性など起こらない、と断言されていました。
これは嬉しい。iBではこのあたりの知見がなく、今までは回答にこまっていたことなんですが、これからは水素脆性についても胸を張って回答できますね。

ということで、今回のCAMPFIREのプロジェクトは思わぬ支援をいただくことになりました!ありがとうございます。

ますます開発に力をいれていきたいと思います。



posted by sotaro at 10:55| 埼玉 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする