2022年08月08日

・「EVER SLEEVER pat.(エバースリーブ)」が実現したこと。(シリンダーの歴史)

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シリンダーに絞ってエンジンの歴史を振り返ってみます。
まず最初に現れた量産シリンダーは鋳鉄シリンダーでした。鋳鉄というのは量産性に優れていますので、ごく初期の手作りのようなエンジンを除けば、量産でシリンダーを作るときに鋳鉄が選ばれたのは当然のことだったと思います。あらゆるエンジンが当初は鋳鉄シリンダーで造られていました。
エンジン誕生からおおむね60年代くらいまではこのタイプが主流でした。

ただ、やはり鋳鉄は重い。2輪車にとって重量が軽いということは加速性能・運動性能・燃費などあらゆる点にとって重要です。さらには放熱性なども考えると鋳鉄の次にはシリンダーにアルミ鋳物が使われることになったのは自然なことでした。これはエンジンだけに限られたことではなく、後にはフレームまで含めてアルミという素材が2輪車では多用されていきます。
それでも、アルミそのままでは内径の過酷な摺動には耐えられませんから、シリンダー全体の素材はアルミに変更するものの、内径の摺動を担当する部分だけは鋳鉄を残さなければなりませんでした。
こうして生まれたのがアルミ鋳物の中に鋳鉄製のスリーブを挿入(または鋳込み)したタイプのシリンダーです。
60年代に生まれた鋳鉄スリーブ+アルミ鋳物のシリンダーは70年代にはスポーツタイプのオートバイからどんどん普及がすすんでいきます。ハーレーのような速さや軽さを重要視しないタイプのオートバイでは80年代まで鋳鉄シリンダーが使われましたが1984年にエボリューションエンジンが登場し、ハーレーでもアルミ+鋳鉄スリーブに進化していきます。

さらにアルミに超高硬度のメッキが可能になると、シリンダー全体がアルミで鋳造された内径に、メッキを施したオールアルミのシリンダーが登場します。これは日本車の2ストロークのレーサーのエンジンに真っ先に採用されました。80年代後半のことです。

過酷なレースにおいて、まずその優れた性能が必要とされたのですね。レーザーレプリカが爆発的に売れたことで、市販車にも同じタイプのオールアルミのシリンダーが採用されていきました。ここで量産技術が確立されたことで、それから先はやはりスポーツタイプのオートバイから採用が進み、いまではほとんどのオートバイエンジンはオールアルミのシリンダーが採用されています。iBがこのシリンダー生産の過程に深く関わっていたことはみなさんご存知の通りです。

つまり、オートバイのシリンダーの進化というのはアルミ化の歴史であったということができると思います。

そしてEVER SLEEVE(R) pat.が実現したのは、歴史の中期に使われていた鋳鉄スリーブタイプのエンジンを現代のオールアルミのエンジンへとひとつ時代を進めることに他なりません。

いままで、鋳鉄スリーブの問題点、アルミメッキスリーブの美点について多くの言を費やしてご説明をしてきましたが、これをひとことで言うとすれば、EVER SLEEVE(R) pat.とそれを採用して行われるICBM(R)というメソッドは

シリンダーを一時代分進化させる「モダナイズ」の技術であった、
ということだと思います。

そして、それを現実化させたのは
「なんとかして旧車のために減らないシリンダーを創りたい。」
というiBの技術者の熱意でした。
posted by sotaro at 11:00| 埼玉 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | エバースリーブ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする