
川崎重工によるリバイバルヘッド生産など嬉しい出来事も起こっている旧いオートバイの世界ですが、まだまだ変わって行かなくてはいけない点もあるように思います。
世間の声に耳を傾けると、外観だけ仕上げて、エンジンには手を入れないまま販売してしまう業者もいるらしく、それはたいへんに残念なことです。旧いオートバイを購入するユーザーの方にも、やはり高い見識を持って、是非、見分けて欲しいと願うばかりです。それが一番大事なことだと思います。
それが本当にできれば、いずれは評判の良くない業者は淘汰されていくでしょう。しかし、道は遠いと言わざるを得ません。それに、ユーザーにばかり、その重い任を担ってもらうだけで、良いことなのか?
そんなはずはありません。本来は、業者が変わらなくてはいけないものだと考えます。では、どうすれば良いのか? iBはこう考えています。
「手を抜いて高く売る」という商法よりも、もっと正しい方法で利益があがるビジネスモデルがあればいいのではないか? そして、それを示すことができればいいのではないか? ここでわかりやすいように、例をあげたいと思います。
以前は、シリンダーヘッドのネジ修正やシリンダーのフィン欠け修理ばかりをご依頼になっている業者さんがありました。ネジ修正のついでに、一応、ガイドやバルブシートの状態をチェックして、「これは直した方が良いのでは!?」とご提案を差し上げても、当初はまったく取り合っていただけませんでした。しかし、受注するシリンダーヘッドの外観は、きれいに再塗装が施されております。iBは諦めずに、その業者さんにも内燃機加工をお勧めし続けました。それがiB本来の仕事ですから、当然です。
そして、ある日、ボーリングのお仕事を受注する機会がありました。その次には、シリンダーヘッド加工もご依頼になりました。いまでは、多くの場合、きちっとした内燃機加工を受注させていただけるようになりました。おそらく、エンドユーザーさんにも喜んでいただけたのだと思います。
別の業者さんでのお話しになりますが、以前はZ1の欠点である「スリーブの緩み」に対して、「スリーブの回り止めにイモネジを打ってでも、ボーリングしてくれ、それでなにも問題になったことはないんだから!」と……。新作の鋳鉄スリーブ入れ替えをご提案しても、聞き入れてくださいませんでした。こちらも覚悟を決めて「回り止め加工は、いっさいやりません!!」と、すべての業者さんに対して、宣言してお断りをしました。
当初は、そのようなお考えだった業者様でも、現在では、鋳鉄スリーブへの入れ替えどころか、ICBMR のご依頼を繰り返し発注していただけるようになってます。
つまり、iB(株)井上ボーリングは、内燃機屋本来の内燃機加工の活動を、これまで以上に積極的に押し進めることによって、旧いオートバイの世界全体を「健全化できるのではないか?」と考えています(なんという手前味噌!?)。業界が不健全な状態にあれば、新しくこの世界に入って来ようとするお客様も、二の足を踏むことになってしまいます。
「いい加減な業者ばかりだから、旧いバイクなんてやめといたほうがいいよ!!」
これでは困りますから。逆に、業界が健全に発展することで、多くのお客様に旧いオートバイに高い価値を見出していただき、人生の充実を実感して喜んでいただいて、バイクショップさんには繁栄していただき、そのような業界の中で内燃機屋もまた、共存共栄を謳歌することが、できるかもしれない!? と、真剣に考えています。
このような考えを旧車の業界の中で現実化できるのは、もしかしたら内燃機屋だけなのかもしれない!? とも思うようになりました。優良なバイクショップさんでも、他ショップさんの営業方針には口出しできないでしょうし、メディアのかたも、ましてや一般の顧客のみなさんにも、旧車業界を健全化していくというのは、実際にはなかなか困難なのではないでしょうか?
みんなが「困ったことだ……」と思っていながら、解決の手立てのない問題に、唯一、内燃機業者だけは相手の懐に飛び込んで行って、自らの本業に全力で取り組むことで、この問題を改善していくこともできてしまう立場にいるのではないか?
iBは、そのことに気づきました。厳しい環境の中ではありますが、iBはそのことに賭けてみたいと思います。ぜひ多くの皆様の応援、よろしくお願い致します。
旧いオートバイを愛する方々にいつまでも愉しく走り続けていただきたい。iBはそう願って止みません。
posted by sotaro at 10:27| 埼玉 ☔|
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