2019年06月18日

「エバースリーブ™️」の詳細

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現在モニター受注を開始している「エバースリーブ™️」について、その詳細を教えて欲しいというお問い合わせをいただきましたので、あらためてご説明したいと思います。

まず、エバースリーブ™️技術を採用して完成したICBMシリンダーはいままでのICBMシリンダーとなんら変わりがないとお考えください。
ただその製法にちょっとした変更点があります。

それは何かと言うと、先にホーニングまで完成したアルミメッキスリーブをシリンダーブロックに常温挿入してその後面研磨などを実施して仕上げたものというこの一点です。
単に工程の順番が変わっただけ、のようですが、通常鋳鉄でもアルミでも内径仕上げまで完成してからスリーブをシリンダーブロックに焼き嵌めすることはありません。なぜかと言うと焼き嵌めでスリーブを入れた後、熱収縮する際にスリーブが変形してしまうから、です。
そのため内径の仕上げは、必ずスリーブの圧入後にやらなければ精度の高いシリンダーを作ることはできなかったんです。

スリーブが鋳鉄でできていて、シリンダーブロックがアルミでできている場合にはスリーブの圧入は焼き嵌めでやるより方法がありません。
(2ストなど、一部の鋳込みスリーブは除きます。)

iBではアルミメッキスリーブICBMの開発に成功した後も、確実なスリーブ挿入法として引き続き焼き嵌めを実施してきました。

ところが!
多くのICBMを取り扱ううちに、スリーブを外さなくてはならない機会もあり、そのときにスリーブもアルミでシリンダーブロックもアルミの「アルミ同士」の場合には、圧入代がほんのわずかであってもアルミ同士が結合してしまって抜くに抜けないという事態に多く遭遇したのです。

そして、このことがある発見に結びつきました!
「アルミスリーブは挿入時の嵌合がなんとゼロでもシリンダーブロック内で遊ぶことがない!」
という驚くべき事実です。

なぜか。
それはエンジン(=内燃機関)の熱はシリンダーの内部で発生していて、一方シリンダーブロックの方は空冷にしろ水冷にしろなんらかの方法で冷やされるもの、だからです。膨張率に差がないアルミ同士の場合、熱にさらされるスリーブは膨張し、シリンダーブロックは冷やされていて膨張しない。
だからなんと嵌合代はゼロでもあるいはプラス(わずかな隙間嵌め)でも、稼働するエンジンの中ではスリーブはブロックにしっかりと抱きついて一体化しているのです。

考えてみれば、当然のことでもあります。

しかし、長年内燃機屋として鋳鉄スリーブ入替を実施してきた中では全く思い至らないことでしたし、バイクメーカーさんの仕事としてアルミシリンダーに直にメッキをするシリンダー製法を実施している間もまったく知る必要がない知見ではありました。

アルミメッキスリーブICBMを数多く手がけて初めて気づくことができた発見でした。

そして、この発見が「エバースリーブ™️」の開発へとつながったのです。

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嵌合代がゼロにできるとどんなことが可能になるのか。
それは、常温でスリーブの挿入ができ、しかも挿入後の熱収縮がないのでスリーブの変形が起こらないのです!

ということは、今までの常識に反して、ホーニングまで完全に精密に仕上げたあとのスリーブをその後にブロックに挿入しても、なんら問題がないことになります。
内燃機加工の常識としては、ディーゼルのスリーブでもガソリン車でもオートバイのエンジンでも、いままでにやったことがない画期的な加工方法であり、「ホーニングまで完成したスリーブをそのまま挿入して終わり!」なんてほんとうにあり得ない加工方法なんです。

これは鋳鉄スリーブではできないことです。
鋳鉄とアルミでは膨張率が倍ほども違うので、先の投稿でもご紹介した通り、稼働するエンジンの中では常識的な嵌合代があっても、スリーブはブロックのなかで遊んでいるということになってしまうのが現実です。まして嵌め合いゼロなんてあり得ません。

アルミスリーブならこういう問題が絶対に起こらないばかりでなく、さらに今回「エバースリーブ」として完成品スリーブの販売も可能になるのではないか。

iBとしてはこの可能性に賭けてみることにしました。

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様々なテストをし、嵌合代を調整しながら「エバースリーブ™️」の製作に挑戦しました。
その結果、技術的にはまったく問題なく「エバースリーブ™️」を製作することができました。また、社内のテストでは好結果を得ています。

さらに、一般のユーザーの方にモニターとしてご協力をいただいて、「エバースリーブ™️」の完成度を高めていきたい、考えているところです。

ぜひ、ご協力をよろしくお願い致します。
ただいま申し込みいただければ、通常価格240,000円プラス税のICBMR シリンダーが168,000円プラス税でお試しいただけます。
さっそくZ1オーナー様に一台のお申し込みをいただいておりますが、当面10台ほどのモニター受注を目指しています。
Z1/Z2のφ64.5m/φ66.5mmでしたら20日間の短納期で対応可能ですが、それ以外の機種でもご相談ください。

「エバースリーブ™️」が完成すれば、iB以外の日本全国の内燃機屋さんやそれ以外にもシリンダーバレルのスリーブ穴拡大ができる機械加工屋さんであれば、どこでもアルミメッキスリーブを創り上げることができるようになり、今より多くのかたにアルミメッキスリーブの恩恵をお届けできるようになります。

できる限り多くの方に、いい状態のエンジンで愉しんでいただきたい。
それがiBの目指すことです。

「エンジンで世界を笑顔に!」 (株)井上ボーリング

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なお、iBでは今後も鋳鉄スリーブの削り出し加工も「エバースリーブ™️」やICBMと並行して実施していきます。
もちろん、他社様の製品の鋳鉄スリーブにも優れたものがあり、こちらをご支給での入替作業も引き続きやらせていただきます。

他者様の製品を含めiBが扱うターカロイ などの鋳鉄スリーブにも、鋳鉄スリーブならではのよさはあります。
特に薄肉のスリーブなどにその強みがあります。
用途により嵌合代を適切に設定することなどにより、有用な鋳鉄スリーブの製作・利用は今後とも可能だと考えています。

また、アルミスリーブは大幅なボアアップなどに必要な薄肉のスリーブ製作には向いていないことは、あらかじめお伝えしておきます。



posted by sotaro at 10:28| 埼玉 ☔| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年06月15日

エバースリーブモニター募集のお願い

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iB ファンのZ1/Z2オーナーのみなさまにお願いです。
どなたかKAWASAKI Z1/Z2のシリンダーを修理予定の方はいらっしゃらないでしょうか。

iBでは「エバースリーブ」という新商品を開発しています。

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これはICBMR 同様アルミメッキスリーブなのですが、内径ホーニングまで完成したスリーブを単体販売することを計画しています。
シリンダーへの圧入方法に工夫がいりますが、これを入手すれば一般のボーリング屋さんなどでもアルミメッキシリンダーを仕上げることができるようになる、という画期的な商品です。

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アルミメッキができるところ、また、アルミメッキ後の内径をプラトーホーニングできるところはiBの他にはまずないのですが、エバースリーブを購入すれば、シリンダーブロックの内径切削加工をある程度の精度でできれば、上のような仕上げ技術はなくてもアルミメッキシリンダーを完成させることができます。

この製品を製作することはできているのですが、この性能試験を社内では自前のSR、GS750,外部ではZ900などの機種で実施して好結果を得ていますが、もっとたくさんの実施例を収集したいと考えています。

そこで特に4気筒のZ1/Z2をお持ちのかたでICBMの導入を考えているかたに、モニター価格でこのエバースリーブの技術をご提供したいと考えています。できればφ64.5mmまたはφ66.5mmのピストンを利用予定のかたが望ましいです。

通常240,000円プラス税のICBMをエバースリーブ方式を使って完成させたICBMシリンダーを168,000円プラス税でモニター試用していただける、というかたはいらっしゃいませんでしょうか。鋳鉄スリーブ入れ替えより安価になり、たいへんお得にICBMR そ手にしていただけると思います。

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完成製品としては通常のICBMとまったく同一です。すべての加工をiBで責任を持って実施します。
納期はシリンダーをご支給後、上記のサイズでしたら20日ほどです。

ご希望のかたがいらっしゃいましたら、ぜひご応募ください。

モニター条件詳細につきましては、ご応募をいただいたかたとご相談のうえ、ご依頼したいと思います。
なにかご不明な点があれば、なんなりとお問い合わせください。

よろしくお願い致します。
posted by sotaro at 12:01| 埼玉 ☔| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年06月09日

純正鋳鉄スリーブの問題点

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今までも何度も指摘してきていることなんですが、再度まとめてみたいと思います。

アルミのシリンダーバレルに鋳鉄スリーブが焼き嵌めされているシリンダーは20世紀にはごくありふれたものでした。
ですが、現代ではもうほとんど採用されることがない方式です。最新のスポーツバイクで鋳鉄スリーブを採用しているという機種を見つけることは困難です。

それは、アルミメッキスリーブの方が 多くの点ではるかに優れているからなんです。

鋳鉄スリーブは摩耗してしまう、そのために昔はオーバーサイズピストンというものを各バイクメーカーも用意していましたが、今はもうオーバーサイズピストンというものは作られていません。アルミメッキスリーブはほとんど摩耗しないからです。
「摩耗」が鋳鉄スリーブの根本的な問題であることは言うまでもありませんが、それ以上に大きな問題があります。

それはアルミと鋳鉄では熱膨張率が倍くらい違う(!)、ということです。しかもエンジンというものは必ず熱を持つものです。
そこで不可避的に起こるのが、「スリーブの緩み」です。

トップの画像はZ1の鋳鉄スリーブが常温でも緩んで抜けてしまっている、という画像です。iBにボーリング依頼のためにシリンダーが送られて、届いて開けてみるとこのようにスリーブが抜けてしまっているんです。

一方、こちらの画像は走行距離が少なく常温ではしっかりと0.1mmの篏め合い代を持って焼き嵌めされた純正鋳鉄スリーブとシリンダーの間にオイルがおびただしく侵入した例です。
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0.1mmの嵌め合い代というのは十分な数値でこれ以上に大きな嵌め合いを設定することは通常ありません。
それでも、このようにオイルが易々と侵入するほど、熱がかかった時の膨張率の差によってスリーブとシリンダーの間には隙間が空いてしまうんです。

実際、今年iBでZ1のシリンダーで実施した実験では、シリンダーバレルを150度まで熱するとなんと0.3mmも内径が拡大してしまいました。
稼動時のエンジンの内径壁の温度は220度あまりに達すると言われています。

鋳鉄でできたスリーブとアルミでできたシリンダー。この両者の熱膨張率による寸法変化の差はこのように大きく、製造から40年以上も経て稼働しているエンジンの中ではスリーブは遊んでしまっているのが常態なのだ、と考えるよりありません。スリーブのつばの部分がシリンダーバレルとシリンダーヘッドに挟まれて、かろうじて留まっているにすぎないんです。

このような状態ではスリーブはシリンダーを構成する要素として、外力に対して荷重をいっさい負担していないということになります。また内部で激しく上下し、振動をも伝えるピストンやリングの動きに対してはシリンダーブロックは一切支えにならず、遊んでいる鋳鉄スリーブ単体が揺動しながら全てを担っているということにもなります。
これでは振動の発生や摩耗の進行が大きくなるのも当然です。

また、熱伝導の点でも、接触していないのでは熱伝導は起こらず、エンジンの内部の熱が外へ逃げません。
このような状態のエンジンでは油温が通常より10度以上も高くなってしまうことが確認されています。

そして、その鋳鉄がスリーブ単体ではアルミの3倍もの重さがあることを考えた時、、、、、。

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ただ、鋳鉄にはアルミと比べて素材として剛性・強度が高いという美点もあります。
そこをうまく活かして大幅なチューンアップの際に利用するなど、鋳鉄の良さを活用する方法があることも事実です。

それでも、私たちが愛するヴィンテージバイクに採用する手立てとして、鋳鉄スリーブを採用する以外に方法はまったくないのでしょうか?!

いえ、そんなことはありません。
まさにそこにこそ私たちiBが開発したICBMの技術の存在意義があります。

スリーブもアルミで作ればいいのです。
そしてその内径に飛躍的な耐久性を持つアルミメッキスリーブICBMを採用すればいいのです。
同じアルミでできたスリーブとシリンダーは適切な嵌め合いで圧入すれば、
結合して一体化してしまって、抜こうにも抜けません!

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ICBM の詳細についてはぜひ下記をご覧ください。在庫を持つことで納期の短縮も実現し、ご採用いただくうえでの難点も解消しました!
費用的にも鋳鉄スリーブ入れ替えとの差はそれほど大きなものではありません。

ぜひ、真剣にご採用を検討ください!m(_ _)m

ICBMスペシャルサイト
http://sotaros.juno.bindsite.jp/icbm/

ICBMは2スト・4スト・スタンダードサイズ・オーバーサイズ・ボアアップ、全てに対応可能です。
(但し、極端な薄肉のスリーブを作ることにはアルミスリーブは向いていません。)

iB はお客様と一緒に、すべてのヴィンテージバイクを22世紀の未来に残していくことを夢見ています。
パワーアップというよりは圧倒的な耐久性こそがICBMの価値だと考えています。
posted by sotaro at 14:22| 埼玉 ☔| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする