2017年04月25日

シリンダーの再生はこうなってます。

iBがNSRシリンダーの再メッキを承っていることはみなさんご存知だと思います。
これは当初30年近く前にNSRのサービスパーツの量産をHONDAさんから受注したときに、セットでついてきたものです。(^^)
量産を受けるからにはアフターサービスの方もやってもらわないと、ということでした。

IMG_0933.jpg
それにつけてもNSRシリンダーの生産に欠かせないのが「柱の逃し」技術です。

4ストのHONDAさんが2ストロークでレースバイク(始めはモトクロスから)を作ることになったときに、排気ポートに柱をたてることで一気に排気を吐き出せるポート形状(Tポート)を考えたことで、その後の2ストでHONDAさんが常にパワーでライバルに優位に立つことができていたわけです。
ところがこの排気ポートというのは熱が集中するので、内側に向かって柱が熱膨張してシリンダーとピストンが焼き付いてしまうという事態が頻発しました。この対策として考えられたのが「柱の逃し」です。

ファクトリーレーサー程度の数なら社内で加工できたのでしょうけれども、市販レーサーの分を量産するということになって社外でこれをやらなくてはならないことになり、数社が挑戦しました。iBもそのうちの一社でした。
当初M社さんがトライして2年かかってもできなかった加工をiBは半年ほどでできるようになってしまいました。この話はなんどもしているので省略しますが(笑)、そのおかげでHONDAさんのサービスパーツ全機種をiBで受注できたんです!
20世紀の間中iBは2ストの仕事で忙しくさせていただいたのもこの「柱の逃し」の技術のおかげと言えなくもない、そのくらい重要な技術なんです。(ま、それだけではありませんけど)

今はiB以外にも再メッキをやられるところがあるようですが、どうもこの柱の逃しをちゃんとやってあるのをみたことがありません。ここが正確にとれないといろいろ問題があります。一番はメッキ前とメッキ後で正確に同じ加工ができないと、メッキの厚さが均一にならない、ということです。厚さが部分的に厚かったり薄かったりするとメッキ剥離の原因になります。一見するとメッキがはがれていなくても、もともと0.07mm程度しかないメッキ層が部分的にどれだけ薄くなってしまっているのかをあとから見分けることはできません。そうでなくてもこの柱の部分はシリンダーの他のどの部分より過酷な条件(細い柱がピストンの拡張圧を一手に受ける)で剥離が起きやすい位置なのに、柱の逃しがうまくできていなければ焼き付きの原因になるのは明らかです。

この加工には現在は縦型マシニングセンターとダイアモンドツールが使われ、
IMG_0935.jpg

また加工後に形状測定器で200倍に拡大して検査をすることがどうしても必要です。このような設備がないとこの加工はできません。
IMG_0934.jpg

NSRの再メッキはぜひiBにお任せいただきたいと思います。メッキそのものもそうですが、メッキ後のダイアモンド砥石によるプラトーホーニング仕上げ、「柱の逃し」やポート面取り、逃し後のぼかしなど全てをHONDA純正の技術と精度で仕上げることができるのはiBをおいて他にはありません。ウォータージャケットのパイプも新品に交換します。

また、再メッキでは対応できない傷の深いシリンダーや柱にクラックが入ってしまったシリンダーについてはiB得意のICBM(R)でスリーブを創って再生することも可能です。これもiBならではですよね。
ICBM(R)は高価ですが、'88など新品が入手不能な場合にNSRでも何度かご用命をいただいた実績があります。

さらに将来的には昨日もご紹介した3DスキャンとCAD/CAMの技術でシリンダーそのものも削り出して創ってしまおうと考えています。現在モンキーシリンダーやRZ350初期型のシリンダーなどからトライを開始しています。
もともとiBはシリンダーアルミ鋳物をご支給いただいて、シリンダーを完成加工してきたのですから、CAD/CAMで鋳物以上の精度でだいたいの形さえ作れれば、そこからの上記のような内径仕上げを含めた完成加工はお手の物というわけなんです。

再メッキをはじめ、NSRのシリンダー加工はぜひiBにご依頼をいただけますよう、よろしくお願い致します! m(_ _)m


posted by sotaro at 09:30| 埼玉 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | NSR再生技術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年04月24日

NSRクランク再生は、もうすぐこうなります!


MC18('88)クランクシャフトの分解組み立て動画です。昨日の大阪NSR Partyでも公開しました。
これ、もともとただの「絵」ではなくて、3Dデータなんです。
それぞれの部品をこのデータを使って削り出すことがもうすぐできるようになります。
すると、なにか起こるのか、、、、、!!!!!
それは、たいへんなことになるんです!!!  わはは。(^o^)

最近はクランク再生のご依頼をいただいてクランクシャフトを分解すると、コンロッドの大端部や小端部・クランクピン部に錆びや錆から派生した痛みが進んでいるものが多くなってきています。
MC18('89)以降MC21/MC28のコンロッドについてはiBでは画像のようにコンロッドをオリジナルで製作して在庫していますので、新品交換で対応できます。よそでコンロッドが傷んでいて直せないと言われた方もiBにおまかせください。
16729506_1643590438989651_8244309723021924039_n.jpg
ただ、MC18('88)だけはクランクピン径が1mm細いのでこのコンロッドが使えません。

また'89以降でもクランクピン部の損傷については他の程度のいい中古を探すより方法がありませんでした。
でも中古を見つけてもこれもまた同じ部分に痛みを抱えているものが増えてきているのが現状です。

そこで、ウェブとクランクピンの一体部品の3Dデータを作成したわけです。ついでにコンロッドや他の部品も3Dデータ化したものを加工して創ったのが、上の動画です。

さて、この'88用のウェブを削り出して作るときにクランクピン部を1mm太く('89以降と同じ太さに)創ってしまえば!!!
おお!'88用強化クランクのできあがり。しかもiBオリジナルコンロッドが使えてどんなに傷んだ'88クランクもコンロッドもクランクピンも新品にして強化クランクとして再生できる!!!!@_@
というわけなんですよ〜〜〜。  どうだ!!! わはは!

これは凄いでしょ?

いままで'88のクランクが再生できず泣いていたお客様。あと、もう少しです。
絶対に「もう'88NSRの再生はあきらめた!」なんて言わずにもう少し待ってください。
iBがなんとかします。もちろん'88のみならず全ての年式の痛みのひどいNSRクランクも再生可能になります。

コンロッドが痛もうが、クランクピン部が痛もうが、もう悩む必要はなくなる上に
たぶん、まだ手に入る後期の新品クランク14万円よりも安くできるんじゃないか、と考えています。

なにがiBにそこまでさせるのか。それはNSRのシリンダーを30年近く前に受注してそのことで今日まで食わせてもらったNSRへの感謝の気持ち、それに最初にNSRクランクの再生を実現させたiBのプライドでしょうかね〜。(^o^)

ぜひぜひ、ご期待くださいね〜〜〜!!(^o^)


posted by sotaro at 12:44| 埼玉 ☔| Comment(2) | TrackBack(0) | NSR再生技術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年04月21日

H2R-ICBM(R)シリンダー完成!

OVER RACING佐藤健正会長のご依頼により加工してきたKAWASAKI H2Rのシリンダーがついに完成しました。

H2Rと言えば当時世界最速を誇った70年代のレーサーで、昨年世界最速記録時速400km/hを出したというNINJA "H2R"のネーミングもこのバイクからとられているのだろうと思います。
zrx07_06_01.jpg
H2Rレーサーの詳細はこちらなどご参照ください。
http://www.mr-bike.jp/feature/zrx/007/06.html

そのH2Rを健正さんが入手され、クラシックバイクレースLegend of Classicに出場されるにあたって、iBにシリンダーのICBM(R)化をご依頼くださったんです。以前にもH2-ICBM(R)をお納めして高い評価をいただいたことが今回のご用命にもつながったものと思います。

当時世界最速のバイクだったH2、ただそのシリンダーには異常磨耗・ピストンの首振りなどの欠点がある。
L2670525.jpg
L2670527.jpg
画像はH2の偏磨耗の状態です。

それをiBの技術ICBM(R)なら解決することができる!
かつての世界最高のエンジンにさらに現代の技術を投入することで世界最高のシリンダーをつくることができる!!
iBはこんな機会に恵まれたんだ、と思いました。なんと光栄なことでしょうか。

L2680951.JPG
H2Rスリーブを削り落としたところ。

L2680904.JPG
H2Rには市販のH2と違って、もともとINTAKEにもEXHAUSTにもちゃんと柱がたっているんです。
柱が必要で有用なことは当時のKAWASAKIも認識していたことになります。

H2R-ICBM(R)では柱はきちっと再現し、さらにEXの柱にはiBの得意技術「柱の逃し」も実施してあります。
IMG_0911.jpg
L2700413.JPG
L2700412.JPG

完成したシリンダーはすでにOVER RACINGさんにお納めしてあります。
4月のLOCには間に合いませんでしたが、このあとのいづれかのレースでデビューを果たすことになります。いまから楽しみで仕方がありません。

L2700415.JPG
L2700414.JPG
L2700410.JPG

H2R-ICBM(R)の製作に関わった全員で記念に写真を撮りました。
L2700407.JPG
このシリンダーを作ることができたことは、今後のiBにとって大きなエポックになるのではないかと考えています。

「世界最高のシリンダー」その定義はいろいろとあり得ると思います。
でも、当時世界最速だった市販バイクのH2そしてレーサーH2R。そのシリンダーに最高の技術を投入した今回のH2R-ICBM(R)もある意味世界最高のシリンダーといえるのではないか。iBはそう考えています。


今後、この技術をさまざまな2ストシリンダーを高耐久化し、軽量・放熱性・すべり性・焼き付きにくさに優れた理想のシリンダーを投入することで、とかく耐久性に劣ると考えられがちな2ストバイクそのものの価値まで高めていけるのではないか。

無謀な試み。そうなのかもしれません。でも、、、、。
かつて2スト好きが高じて「2スト水素バイク」まで創ってしまったiBが、今度は世界一のシリンダーを創ってしまいました!

絶滅危惧種である20世紀の遺産2ストバイクを未来に残していくために。
iBはICBM(R)の技術をできるかぎり多くのバイクに採用していただけるよう、努力していきたいと強く願っています。

2ストロークファンの皆様の応援を切にお願い申し上げます。m(_ _)m

posted by sotaro at 08:58| 埼玉 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | H1/H2-ICBMR | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年04月18日

ゴールデンウィーク直前情報!

もうすぐゴールデンウィークですね!
L2630568.JPG


L2630557.JPG

iB社内でもゴールデンウィーク前半にはみんなで会社でバイク整備をしようとか、後半はツーリングにいこう!などと計画が持ち上がってきています。

例年、長い休みの前の今頃になると、もう「連休前納期の受注はできません。」というアナウンスをさせていただいていました。「おやすみ前になんとか加工して欲しい!」というご要望が殺到し、納期管理に困難を生じてトラブルになることを避けるための知恵でした。

でも、去年の夏からはこのアナウンスをしていません。
もちろん今回のGW前にもこのようなアナウンスはいたしません。

なぜか。

それは写真の受注担当のふたりがすべての受注をコンピュータ管理するようになり、納期管理の精度があがってきたおかげなんです!どこまでお客様からのご要望に応えられるのか、あるいは到底無理なのか。それがしっかりわかっていればギリギリまで受注をお受けしてもトラブルになんかなることはありませんよね。

L2630344.JPG

というわけで、現在は連休前でも受注を締め切りすることはありません。
(全てのご用命が連休前に収められるという意味ではありません)

GWにエンジンを組みたいというかたもぜひぜひご相談ください。
ご用命をお待ちしています! よろしくお願い致します。m(_ _)m
posted by sotaro at 10:17| 埼玉 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年04月12日

"Web SHERPA"創刊!

http://sotaros.juno.bindsite.jp/websherpa/
いよいよ本日公開いたしました!!!

websherpa.jpg
iBの新メディアMonthly "Web SHERPA" ネットマガジン創刊です。
ぜひぜひ、こちらのURLからご覧になってください。
http://sotaros.juno.bindsite.jp/websherpa/

内燃機屋が独自でネットマガジンを発行する、という画期的(?)な試み、どうかみなさんのお力添えをお願いします。
企画編集、文章作成、写真や動画の撮影、動画編集、HP作成のすべてをiB井上が担当します! そうです。零細企業の社長はなんでも自分でやらないといけないんです。わはは。(^o^)

ENJOY! DIY BIKE LIFE
「バイクを愛してしまったら、自分で手入れしたくなるのは自然なこと。」
多くのかたにバイクとともに生きる人生の愉しさ・素晴らしさをお届けしたいと思います。末永くバイクとともに人生を旅し、遊び、愛で、暮らしていただけたら、、、、。

もし、エンジンにトラブルが出ても、そのときは私たちiBがお手伝いします。
毎月第2水曜日に更新していきます。どうかお愉しみに!
posted by sotaro at 08:47| 埼玉 ☔| Comment(1) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年04月09日

恒例春のiB 全体会議 多摩湖畔「掬水亭」にて

L2700588.JPG満開の桜の下、今年もiB 全体会議を開くことができました。

L2700578.JPG

L2700580.JPG
メンバーがすっかり若手ばかりになりました。
内燃機屋では技術の継承が最大の課題とされていますが、iBではこの10年ほどかけてこの課題に取り組み、昨年末をもってついに全ての現場技術者が現役世代となりました。これも長年にわたりiBを支えてくれたベテラン技師が快くその技術の継承に取り組み、全ての技術を伝えた上で勇退してくれたおかげです。感謝に堪えません。

技術の継承にはそれだけのコストがかかりますが、継承を終えたいまスリムになったiBは稼げる体制を作り上げることができた、とも言えると思います。昨年この時期の17名から、現在13名の体制になっています。もちろん、こなせる仕事は減っていません。

おかげさまでiBが世に問うたICBM(R) もご好評をいただいております。これもひとえにご愛顧いただけるiBのファンの皆様のおかげです。Facebookのファンのかたの数は現在18,000人を大きく超えています。繰り返しオーダーをいただけるファンの皆様のおかげでこの春もたいへんに忙しい状態が続いており、残業をしないことにプライドを持っているiBですが、止むを得ず2月の後半から現在まで残業の体制をとっています。

納期の点でご迷惑をかけないよう全力を尽くしておりますが、お客様にはどうか納期に余裕を持ってのご用命を伏してお願い申し上げます。

今年も桜の古木は見事に咲いて、わたくしたちの前途を祝ってくれました。今夏には創業64周年を迎えることになります。今後とも気を引き締めて良い仕事を続け、みなさまのご期待に応えていきたいと思います。

今後ともよろしくお願い申し上げます。       --iB井上 
posted by sotaro at 13:33| 埼玉 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする