2016年09月20日

働き方改革について

このエントリーは先日のiB-TV「エンジンで行こう!」の中でお話しした内容です。
時間をかけて動画を見るのが苦手な方もいらっしゃると思いまして、blogに再録してみようと思います。

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前回の放送でもお伝えした通り、iBは基本的に残業をしません。まあ、あたりまえのことなんですけどね。でも、日本の企業ではむしろ残業をするほうが当たりまえになっています。欧米に比べて生産効率が悪く労働時間が長い、ということが問題になっているんですね。
iBは残業をしないだけではなく、水曜研究時間と言って水曜日の午後はフツーの生産的な仕事はせずに、自分が自由に新しい技術に挑戦したり、新製品の開発に取り組んだり、レースやイベントの準備をしたりということで、自分で働き方を考えて愉しく仕事をしてもらおうという時間を作ったりしています。たいへん有意義なことだとおもってやってるんですが、でもこういうことばかりをやっていると、本来の仕事が遅れてしまうのではないか、生産や業績があがらないのではないか、というふうに考えられることが多いと思います。確かにそうなんです。どう考えても普通はそう考えます。
ところが! これは僕の経験ですが、会社の業績は残業をしないほうが、不思議なことにあがってくるんです。


水曜午後の研究時間に「バイクやエンジンに詳しくなりたい」とHONDAモンキーのエンジンを分解するKKURUMIさん。

昔はiBも残業をしていました。通常十九時まで、でもなにかあるともっと遅くまでやっていました。実際、間に合わない仕事があって、やれば納まる。売上もあがる。お客さんだって間に合えば喜ぶ。仕事があるのはありがたいことじゃないか。それなのに残業しないで帰っちゃうなんて、ふざけるな!やる気あるのか!
そう考えて残業をしたり、休日出勤をしたり、徹夜で機械を回すなんてことも普通にやっていました。そうやって頑張るのが偉い人真面目な人、やる気のある人だと当然のように思い込んでいたんです。
ところが今は180度逆で、仕事が納期に収まらないのはなにか仕事のやり方に問題があるんだ。それをきちっと時間内にやるのは有能な人で、残業をするっていうのはそれができていないかっこ悪いことだ、と考えるんです。
これ、iBでも最初は抵抗がありました。それに自分自身も半信半疑でした。
政府も働き方を改革していかなくてはならない、とかんがえています。多くの会社を経営する人も、また働く人自身もみんな残業をしないで成果があがればその方がいいにきまっている、とかんがえているわけです。それなのに、これが実際にはどうやっていいのかわからない。うまくいかない。実現していかない。どうしてなんでしょうか。
逆に考えると何故残業をしない方が業績があがってくるのか、これがわからないと怖くてこんなトライはできませんよね。一応はその経験をしたわたくしがこうではないか、という考えを述べさせていただきます。


それは、第1にメンタリティーの差です。
「残業するのは偉い」「残業する人はやる気がある」という空気の中だと、みんな自然と残業をせざるをえないようになります。これはみなさん経験があることで、わりと普通のことだと思います。
さて、でも残業があたりまえになると、それほど忙しくない時期にさえ、仕事のペースを落としたり、あまり合理的でない仕事の仕方を選ぶようになってしまいます。いかにして早く仕事をすすめるか、ということではなく、仕事をしている雰囲気を出しながら、実際には仕事があまり進まないような方法を選ぶことに慣れてしまうんです。
ところが、その反対に残業なんかするのは無能だからだ、なにかうまくいってないから残業なんかしなくちゃならないんだ、かわいそうに、という空気の会社だとこれがまったく逆になります。なんとかして、能率のいい仕事のしかたはないか、もっと合理的で儲かる仕事のしかたがないか、というふうに真剣に考えるようになります。このメンタリティーの差が決定的なんだろうと思うんです。
普段、効率の悪い仕事の仕方ばかり考えることに慣れている人が、いざ大事なしごとを効率よくやらなくてはならないという場面になったときに、突然考えを切り替えてがんばれるのか、というとそうはいかないんだろうと思います。ふだんから効率のよい仕事のしかたで短時間に集中して仕事をする癖がついているかどうかがとても大きいと思います。

第2に
企業が目指すことは効率よい利益が出る仕事の仕方、であって必ずしも売上の拡大や規模の拡大ではない、ということです。このおおもとを理解していないと、経営者自身も判断を間違います。
小さくても大きな利益が出る会社もあれば、大きくても赤字の会社もあります。特に大企業以外の企業が目指すべきことは規模の拡大や維持ではなく、利益率のいい・「儲かる会社」をいかに作るか、ということです。
残業をすることで、それだけ売上の額が増えることはまあまちがいないと思いますが、そのことによってはたして利益率はあがるのでしょうか。残業は残業手当がついてその分だけでも利益率は下がります。まして第一に指摘したようなメンタリティーの悪化があります。
残業をすることによって売上の規模はわずかにふえる一方、通常は利益率は下がってしまうんです。これではなにをやっているのかわかりませんね。だって、会社の目的は利益率をあげることであって、売上の額ををわずかに増やすことではないんですから。

これが残業を極力しないようにするべき、最大の理由だと思います。

さあ、このように理屈を整理をすると当たり前のようにも思えるお話ですが、実はこれを骨身にしみて理解するのは、なかなか簡単なことではありません。まずは実験的に残業を減らすことができるような地道な取り組みを始めていくよりないかと思います。でも、その先には必ず残業だらけの状態よりは「愉しい仕事のできる会社」という状態が待っていますので、ぜひ恐れずに取り組んでいただければと思います。そんなことを言っているiBは実はたいして儲かる会社にはなっていませんが、この12年間にわたって赤字は出していません。儲かるかわりに「愉しい仕事のしかた」「愉しい会社」を作ってきたと自負しています。世の中の会社がみんなiBみたいな考えになれば、ブラック企業なんてすぐにもなくなるし、政府の「働き方改革」もどんどんすすむと思います。そして、それはいつかAIやロボットが進化して、企業の効率が素晴らしくよくなって、多くの人が働かなくても暮らせるような理想の社会を作るときにも必要な考え方だと思っています。    
posted by sotaro at 06:30| 埼玉 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年09月17日

仕事の愉しさ

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iBは愉しく働くことを目標にしています。

そう言うと、「そんなのはキレイごとだ!」
そう言われてしまうこともあります。

でも、iBは愉しく働くことを目標にし、本気でそうなるように努力しているのは事実です。例えば残業をしないこと、水曜午後の研究時間などを通じて自分の働き方を自分で決めるように習慣づけようとしているのも、その一環です。
やはり人間は自分が好きな、得意なことをやるのがなんと言っても一番愉しいのではないでしょうか。iBの技師たちはみんなバイクが大好きなので、そのエンジンの部品を加工できること自体が仕事が愉しい大きな理由になっているとも思います。


そうは言ってもまだ、仕事というのは「そもそも辛いこと・苦しいことを耐えてやることに意味がある」のであって、辛いのが当たり前だ、というような見方を変えることができない方もきっといらっしゃると思います。仕事が愉しいなどというのはたわ言だ、というわけです。
幸運なことにiBの仕事は「金属の機械加工」です。実はこの機械加工という仕事そのものが実は「愉しい作業だ」ということも見逃すことはできません。
これを読んでいる方ならきっとご経験があるでしょうが、バイクを弄っていると頻繁に部品を細工したくなるような事態が起こります。それが樹脂製やゴムなどの部品ならナイフやヤスリなどで一般の方でもなんとか加工することもできます。でもこれが鉄など金属でできた部品だとおいそれと加工することはできませんね。少し長すぎるボルト。崩れてしまったネジの穴。ほんのちょっと太すぎるシャフトの外径。そんな少し合わなかったり傷んだ部品が金属製ということになると、普通はどうすることもできません。

でももし、旋盤やボール盤・フライス盤などの機械があってそれを自由に操る技術があるとすれば、、、、。

iBで仕事をしていれば、そんなことは簡単にできます。それどころか、エンジン部品の中の非常な高精度を求められる仕上げ加工、例えばボーリングやプラトーホーニング、面研磨やシートカット、クランクの芯だしまでできてしまうのです。人にはできないことが自分には自由自在にできる。そして素材が形をとって有用な部品になっていく。この加工をすること自体が「愉しい」と言えることがiBの仕事の大きな特長だと思います。
特に例えば旋盤で物を削るとき、加工対象になるモノはモーターの力で回転していますが、刃物台を動かすのはハンドルを回す自らの腕や手の筋肉の力です。多くを一度に削ろう、あるいは硬い素材を削ろうとすると素材が抵抗をするんです。強い力が入りますし、グーリグリとした手応えがあります。ボール盤で深い穴あけをしていくと、キリコが閊えてくると力をいれてもドリルが進まなくなります。そして削られるモノがキリキリ悲鳴をあげることだってあります。一度ハンドルを戻してドリルを抜きキリコを排出してやると、またスっとドリルが進んでいきます。まさに自分の手の力でモノを削っている、という実感がそこにあります。技術を必要とするスポーツのようなものだと言ってもいいかもしれません。モノのカタチが変わって行く快感!がそこにあります。


コンピュータのついたNC旋盤やマシニングセンターではこの実感は薄くなりますが、一方工夫を凝らした段取りや加工の構想・プログラムが手削りではできないような高い精度や複雑な形状を作り出す喜びがあります。
そう、金属を加工することには基本的に素朴な喜びがあるんです。会社の経営方針や利益追求などが、その喜びを霞ませるようなことさえなければ、ですけどね〜。
そして、iBの場合にはその経営方針がまさに「働く愉しさ」を後押ししようとしています。

僕にはわかりませんが、必ずしも世の中の全ての仕事にこのような喜びがあるとは限らないのでしょう。ほんとうに辛いだけの仕事というのもあるのかもしれません。その点、iBの仕事はとても恵まれているのだと思います。
そして、その加工の成果としての部品の仕上がりを喜んでいただける多くのお客様がいらっしゃるということがなにより大事なことは言うまでもありません。お礼状をいただいたり、恐縮にも地元の美味しいものを送っていただいてしまったり、できあがったバイクを見せに来ていただいたり、それは僕たちのこの上ない喜びです。ほんとうにありがとうございます。

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こういったわけなので「iBが愉しい仕事の仕方を目指している」というのはほんとうのことで、建前やきれいごとに過ぎないとい言われるとしたらそれはちょっと心外です。本来愉しいはずの職人としての仕事を邪魔することのないように、かのアーツアンドクラフツ運動のウィリアム・モリスが目指したような労働の喜び・生きる喜びの表現であるような働きかたを技師それぞれが自由に追求できるような仕事のしかた。そんなことが、現代のこの日本で実現できないものかどうか。そういう実験にiBは挑戦しているのだ、と僕はそんなふうにiBの仕事について考えています。

どうか、これからも引き続きご声援をいただけますよう、
こころよりお願い致します。m(_ _)m

「エンジンで世界を笑顔に!」 



posted by sotaro at 18:48| 埼玉 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年09月13日

柱つき H2-ICBM(R)

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ご好評をいただいているH2-ICBM(R)!
今月も納品させていただきました。
しかもインテークポートに柱つき!

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この柱があることでピストンが踊らず、おまけに超高硬度のICBM(R)と相まって、極めて静かなエンジンがいつまでも続きます。
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鋳鉄だと完璧にボーリングしても、慣らしが終わらないうちからすぐにリング音が始まってしまうH1/H2。大パワーのための巨大なポートがその原因ですが、H1初期にはあった柱がH1後期そしてH2でもまったくなくなってしまったために、どうしてもリングがポートに飛び込み、ピストンが首を振って賑やかなエンジンになってしまいます。
モト・メンテナンス田口編集長にも大好評をいただいている柱つきH1-ICBM(R)につづいて、H2-ICBM(R)にも柱つきが実現しました。

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シリンダーに永遠のような永い寿命を与えるICBM(R)。
さらにピストンが首を振らないようになれば、クランクの寿命にもまた好影響が期待されます。
KAWASAKI トリプルのオーナーさんは、ぜひお試しください。きっとエンジンの静かさに驚かれることと思います!!
金額は3気筒分で30万円プラス税になります。よろしくお願い致します。



posted by sotaro at 23:18| 埼玉 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする